定年後は「守り」を固めて新しい生活のあり方を模索する時期(写真:イメージマート)
元外務省職員として、ロシアをはじめ世界各国のインテリジェンスや国際情勢を分析してきた佐藤優氏(65)が新たにテーマとして選んだのは、「老後の幸福論」だった。このたび『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』(飛鳥新社)を上梓した佐藤氏が、リタイア後のお金との向き合い方について説く。
ギャンブル要素が強い投資に参戦する必要はない
定年退職後、経済的な不安が尽きない人は多いだろう。しかし、実は日本ほどお金の心配がいらない国はめずらしい。
何より日本には「お金を使わずに生きていける」環境が整っている。値上げ傾向のなかでもサイゼリヤをはじめとする格安のレストランがあちこちにあり、最低限の出費で衣食住が整う。
バブル時代にグルメ志向を体験した人がサービスを供給する側に回り、低価格なのに種類が豊富で美味なメニューが多いことも新興国には見られない日本の強みだろう。
フリマアプリのメルカリを使えば、生活の品はほぼすべて安価に揃えられる。欧米諸国の蚤の市では何を掴まされるかわからないことを考えると、これはすごいことだ。
年金に加えて最低賃金の時給1100円で週20時間程度のアルバイトをするだけで、生活は十分にできる。同じ経済状況でニューヨークに行けばホームレスまっしぐらだ。
そうして考えを進めると、空前の投資ブームで取るべき選択肢も見えてくる。
FXや暗号資産といったギャンブル的要素が強い投資に無理して参戦するのではなく、「国債」の購入を検討するのがいいだろう。国が発行元なので元本割れのリスクが少なく利子も付くという、守りのマネープランである。国債なら国家が滅亡しない限り「紙クズ」になることはない。
