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ライフ

俳優・原田大二郎(81)が同い年の妻と語り合った“捨てたもの” 「70代になって“若さ”を捨てた。その頃に“いいおじいちゃん”になることを選んだ」

原田大二郎・規梭子夫妻

原田大二郎・規梭子夫妻

 結婚から55年、今なお仲睦まじく暮らす俳優の原田大二郎と英文学者の規梭子夫妻(ともに81)。70代に生き方を見つめ直した結果、「とても楽になった」と語る2人だが、実際に何を変えたのか。実体験を聞いた。

70代になっても成長できる

原田:大学時代に演劇に出会って、これまでずっと芝居の世界に身を置いてきたけど、いい役者ってね、だいたい60歳で芝居が変わる。森繁(久彌)さんや、西田(敏行)くんなんかもそう。それまではイケイケドンドンだけど、60歳を超えた頃から、「そんなに見ないでよ」って演技になる。だから客は余計に見たがるんだね。

 俺の場合はそれが10年遅れたな。70歳をすぎたころから、やっとそんなふうに演れるようになった気がする。周りに気を使えるようになったのかな。

規梭子:それはあると思う。演技だけじゃなくて、70代になってから私や長男の虎太郎に対して、思いやりを感じるようになった。

原田:60代までは、「若さ」がまだ残っている。でも70代になったらそれを捨てたというか、若さという潤滑油がなくなったというか。体も心もギシギシする。それを騙し騙し、舞台に立つわけ。若さがなくなったと自覚したその頃に“いいおじいちゃん”になるか“悪いおじいちゃん”になるかの選択があって、俺はいいおじいちゃんを選んだんだろうね。悪いおじいちゃんは楽なんだよ。文句言ってりゃいいんだからさ。

規梭子:「人を幸せにしたい」って思いが強くなったのかな。それまではもう「自分が、自分が」っていうところがあったけど、70歳をすぎてようやく自分中心じゃなくなってきた。それはやっぱり家族の円満にも繋がっている。

原田:あと70代になる頃に捨てたのは実家だね。テレビ番組の企画がきっかけだったんだけど、生まれ育った山口県にあった実家を売った。2003年に母が亡くなって、ずっと空き家になっていた。更地にする時は、重機で庭の木を引っこ抜くんだよ。それを見てると涙が出た。

 しばらくは心にぽっかり穴が開いたというか、喪失感を覚えたんだけど、今考えると、やっと「自立した」という思いも湧いてきたな。寂しかったけど、そういうものを断ち切っていくことで、大人になっていくんだね。

規梭子:そうかもね。実家がなくなったことで、私たち3人だけになっちゃった。しっかり生きていかないとっていう気持ちが湧いてきたのかもね。

原田:おかげで成長できたね。70代になっても成長できるもんだね。いくつになっても「成長するという気持ち」は捨てちゃだめだね。

 * * *
 関連記事《【インタビュー】俳優・原田大二郎と規梭子夫人「70代で捨て去ったら自由になれた」 若さ、人間関係、プライド、実家…「余計なものを一つずつ捨ててきただけ」》では、原田大二郎と妻・規梭子夫人が、70代になってからの人間関係や、捨てるべきもの、こだわり続けるべきものなどを、さらに詳細に語り合っている。

※週刊ポスト2026年2月6・13日号

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