近年では探究学習や協働的な学び(グループワーク)が増えてきている
小中学生の学力低下問題が注目を集めている。直近の学力調査でも小中学生ともにそれを裏付けるような結果が出ている。では、いま教育現場では何が起きているのか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【前後編の後編。前編から読む】
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小学生や中学生の学力低下が深刻な問題になっている。文部科学省による「2024年度経年変化分析調査」では、小学6年と中学3年の全教科で前回調査からスコアが低下した。この結果を知った時、筆者は「やはり」と思った。なぜなら、中学校の教師や塾講師などから「中学1年生の学力低下が著しい」と聞いていたからだ。
この学力低下の原因について、現場レベルでは「探究学習や協働的な学び(グループワーク)が増えたことで基礎的な学力がつかなくなっている」と指摘されている。これは半ば共通認識であるように感じた。これについて書いた記事はどれも大きな反響があり、多くのコメントが寄せられ、そのほとんどが「共感する」という内容だった。
今回は前回記事に続いて、協働的な学び(グループワーク)がなぜ学力低下につながるのかについて分析してみよう。
「分かったふり」を見抜くのが難しい
実際にグループワークを見学していて「これは大変だな」と思うのは、1人の教師がいくつものグループを指導しなくてはいけない点だ。
公立小学校のある現役教師がいう。
「講義式の授業の場合、私がまず知識や技能を伝えます。その後、実際に問題を解かせます。そうすれば、スラスラと解ける子と、手が止まっている子が一目で分かるので子どもたちの理解度が把握できます。ところが、グループワークだと、どの子がどの程度分かっているかが把握できません」
たとえば、国語の教科書の文章を読ませ、それについて話し合うグループワークをする。塾などに通っていて、読解力がある児童がその内容について話す。そうすると、読解できていない生徒もそれを把握し、意見をいう。この場合、「どの生徒の読解力に問題があるのか」を教師は把握できない。分かっているふりをする児童がいても教師はそれを把握できない。
この問題を解決しているのが、塾である。
はなまる学習会という大手学習塾がある。小学校低学年までの児童を主な対象にしている。はなまる学習会の場合、5、6人のグループになって学習をする。個々に学習をすることもあるが、グループワークのような学びも入ってくる。
はなまる学習会の場合、司会役のメインの講師以外に、グループごとにアシスタント講師が1人ずつ配置される。アシスタント講師は1人1人の児童の学習の様子を見ているので、各自がどの程度、学習内容を把握できているのかがわかる。
計30人程度の5つのグループだとすると、メインの講師1人とアシスタント5人で合計6人の講師が必要となる。塾だとこれができるが、小学校のクラスで行うのはまず無理だろう。
結果、「分かっているふり」をして実際には分かっていない児童が発生してしまい、学力低下につながる。
