ゲスト、ホストともに手土産はどういったものを用意しておくか(イメージ)
新型コロナ禍により一時は激減したものの、今またその機会が増えているのが、ビジネスパーソンにとっての「接待」「会食」の席だ。人物ルポルタージュや企業取材を数多く手掛けてきたノンフィクション作家・野地秩嘉氏は、そうした接待の場でこそ教養や人間力が試されると説く。
野地氏によれば、もてなしは考え方と技術であり、行き当たりばったりで飲食店に足を運ぶのではなく、事前に知識を蓄え、マナーを学び、実践の場で経験を重ねることが大切だという。今回はゲストの帰る時の交通手配と手土産について、野地氏の新刊『一流の接待』より一部抜粋、再構成して紹介する。
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知人の飲料会社元幹部が言っていた。
「当社の会長は宴席の心得、ノウハウを先代から受け継いでいます。ある事件がありました。担当秘書が宴席については手配します。当日、午後から雨になるという予報でした。秘書は呼ばれたそうです。
『帰りの足の手配はどうなっとる?』
ここで、秘書が言い訳したんですよ。
『会長、みなさん名だたる会社の幹部ですから、こちらで手配しなくともいいのではないでしょうか』
ここで会長は怒ったそうです。
『馬鹿もの、先方に問い合わせたのか?役員でも車をお持ちではない方がいらっしゃる。雨だと駅まで歩くのは大変だ。出席者のなかで車をお持ちではない方のためにこちらでハイヤーを用意するんだ』」
その飲料会社の接待のうまさはここにある。タクシーではなく、相手が平社員であっても、その会社の招待であればハイヤーなのである。
