「自宅」については事前の備えが必須
どれだけ長く連れ添った夫婦でも、先のことは分からない。2024年の場合、「婚姻期間20年以上」のいわゆる熟年離婚は、離婚全体の4分の1近くを占めた。もし「その時」が来ても慌てなくて済むよう、知っておくべき知恵を網羅した。【熟年離婚マニュアル・全3回の第3回】
「自宅」の財産分与は現金化して半々に分けるのが一般的
離婚協議における財産分与でトラブルになりやすい「自宅」は、事前の備えが必須だ。夫婦のどちらかが住み続けるパターンもあるが、その場合、原則的には家を出るほうが住宅の価値の半分を現金で受け取る「代償分割」が必要になる。手元に十分な現金がなければ、家を売り現金を分けなければならない。フラクタル法律事務所代表の田村勇人弁護士が解説する。
「持ち家は売却して現金化し2分の1ずつ分けるのが一般的です。ただし、住宅ローンが残っている場合は残債と売却価格の差分が分割対象になるため、事前に『いくらで売れるか』『残債はいくらか』を正確に確認しておくことが必須です」
離婚が成立し、自宅の売却が終わるまでには、新たな住まいを見つけておかなければならない。賃貸物件が第一選択肢になるが、高齢になるほど入居審査が厳しくなる。熟年離婚後の生活の備えについて、消費生活アドバイザーの丸山晴美氏はこう助言する。
「あらかじめ『高齢者向け賃貸』を中心に探しておき、できれば『24時間ゴミ出し可能』な物件や管理人が常駐する物件を選ぶのがいいでしょう。曜日や時間に縛られずにゴミを出せる環境は、住まいが“ゴミ屋敷”になるのを防ぐ大きな助けになります」
立地にも目を向けたい。
「生活に不便な場所を選ぶと家から出るのが億劫になり孤立を深めてしまう恐れがあるため、徒歩圏内にスーパーや医療機関が揃っている物件を選ぶことも大切です」
