キオクシアHD株価急騰の背景とは(時事通信フォト)
キオクシアホールディングスの株価が6月19日、10万円の大台を突破。2024年の上場時から株価は70倍へと跳ね上がり、時価総額は50兆円を超え、国内の上場企業でトップとなっている。2023年3月期から2年連続で巨額赤字を計上して苦境に陥っていた同社だが、そこから業績はV字回復。生成AI向けの需要の急増で、この先はさらなる驚異的な業績拡大が予想されていることが、株価を押し上げている格好だ。何によってキオクシアの業績は伸びていくとみられているのか。その見通しは本当に実現するのか──。
上場時はまだ業績回復途上だった
まず整理したいのは、キオクシアの株価急騰がAIブームによる連想買いだけではなく、上場後に示された業績の変化と、今後の利益見通しが重なって起きていると考えられる点である。キオクシアはNAND型フラッシュメモリやSSDを手がける企業だ。GPUのように計算を担う半導体ではなく、AI時代に増える膨大なデータを保存し、高速に読み出す領域で需要を取り込む企業である。
上場前の業績は厳しかった。メモリ市況が悪化した2024年3月期は、売上収益1兆766億円に対し、営業損失2540億円を計上(営業利益、営業損失は企業が独自に算出し、一時的な費用を除いた”継続的な収益力”とされるNon-GAAPベース、以下同)。ただし、同年度第4四半期には黒字に転換しており、翌2025年3月期第1四半期は売上収益4285億円、営業利益1262億円、2Qは売上収益4809億円、営業利益1663億円と順調に業績を伸ばした。
それでも、2024年12月のIPO時点で投資家の評価がそこまで高かったわけではない。公開価格は1455円、初値は1440円。公開価格ベースの時価総額は約7843億円だった。直近で黒字化していたとはいえ、大赤字から戻り始めたばかりで、メモリ市況が再び悪化すれば利益は揺らぎかねない。上場時の評価は、「AI関連の有望株」というより、「回復は見えたが持続性は確認待ち」というものだったと読める。
利益水準が跳ね上がった
上場後の業績も、一直線に伸びたわけではない。2025年3月期第3四半期の売上収益は4500億円、営業利益は1230億円だったが、第4四半期は売上収益3471億円、営業利益375億円まで落ち込んだ。上場直後から、メモリ事業特有の需給のブレの影響を受けていた。
局面が変わったのは翌年度からである。2026年3月期第1四半期の売上収益は3428億円、営業利益452億円だったのに対して、第4四半期には売上収益1兆29億円、営業利益5991億円まで跳ね上がった。投資家は赤字から黒字になったことよりも、利益水準そのものが一段変わった点に注目したと考えられる。
赤字から黒字への転換、そして利益水準が一段変わったことの背景に何があったのか。そして、その変化はAI需要によってどこまで続くのか。以下、読み解いていこう。
※本記事作成には一部に生成AIの技術を活用しています。
