葬儀トラブルが多発するのはなぜか(イメージ)
前回の当連載記事では、全国の消費生活センターなどに寄せられた葬儀トラブルの相談件数が、調査開始以降初めて年間1000件を超えたことを取り上げた。格安をうたう葬儀社の広告は多いが、申し込んでみたら「話が違う」というクレームは後を絶たない。途中で気づいても、どうしていいか分からず泣き寝入りしているケースも多い。具体的にどのような手口でだますのか、対策はどうすればいいのか、葬儀業界歴約30年、1級葬祭ディレクターの赤城啓昭氏が解説する。【葬儀のセカンドオピニオン・全3回の第1回】
安さに惹かれて依頼したものの搬送後の見積書に愕然…
東京都大田区に住む男性・山中さん(仮名・62歳)のスマホに、父が危篤だと入院していた病院から連絡がありました。深夜に駆けつけたときには既に意識はなく、その1時間後に亡くなりました。
看護師から「葬儀社がお決まりでしたら、呼んでください」と言われましたが、当てはありません。入院中から「そのうち葬儀社を探さないと」と思いながらずるずると今日の日を迎えてしまいました。病院の契約先の葬儀社を紹介できると言われましたが、気が進まなかった山中さんは、ひとまず「大田区 葬儀社」で検索。検索結果上位の中から「家族葬10万円~」とサイトに載せている葬儀社を見つけました。
「ちょっと安すぎるな」と思いましたが、病院から遠回しに「できるだけ早く故人を連れて病院を出発してほしい」と急かされていたこともあって、連絡を入れました。そこは葬儀社仲介業者だったらしく、手配された葬儀社が1時間後に到着。挨拶もそこそこに、父の遺体を載せた専用車両とともに病院を出発し、山中さんのマンションには充分な安置スペースがなかったため、その葬儀社の施設に安置を済ませました。
翌朝、打ち合わせのため葬儀社スタッフが自宅に来たので、「サイトに書いてあった10万円のコースで家族葬をしたい」と伝えると、葬儀社スタッフは、
「いえ、あれは直葬、つまり火葬のみの金額です。家族葬なら45万円からのコースになります」
と言いました。正式に見積書を作ると、葬儀費用はお布施を入れて最終的に80万円近くになりました。山中さんは話が違うと思いましたが、搬送が終わって先方の施設に父を安置している状況ではどうしようもないと諦め、泣く泣く契約書にサインをしたのでした。
