世代間にギャップはつきものだが…(イメージ)
葬儀業界歴が長い人たちから見ると、バブル世代以降、葬儀社スタッフの能力は世代が進むほど高まったという。かつての葬儀業界は、先輩の仕事を「見て盗む」のが当たり前だった。しかし就職氷河期世代がマニュアル化・標準化を進め、続くゆとり世代は遺族への対応力を高めていった。
ところがZ世代ではそれが失速しているように見受けられるという。Z世代の何が問題だったのか。葬儀業界歴約30年、1級葬祭ディレクターの赤城啓昭氏がその理由を解説する。【葬儀業界のジェネレーションギャップ・前後編の後編】
氷河期世代が生み出した「標準化」が花開いたゆとり世代
氷河期世代の次に、ゆとり世代が登場します。
ゆとり世代は文字通り「ゆとり教育」を受けた世代で、仕事だけでなくプライベートも重視し、無理のない働き方を望む特徴があるとされます。Z世代は幼少期からインターネットやSNSに親しんできたデジタルネイティブ世代。働き方に対する価値観はゆとり世代と共通する部分が多いと言われています。厳密にはゆとりにも第一、第二があるとか、一部がミレニアル世代と重なるなど諸説ありますが、この記事では便宜上、1987~1996年生まれ(現在29~39歳)を広義の「ゆとり世代」、その後の1997~2012年生まれ(現在29歳以下)を「Z世代」として区別します。
ゆとり世代は一見、3K(きつい・汚い・危険)職場と言われがちな葬儀業界とマッチングしなそうな気質ですが、私は最も葬儀社スタッフとしてレベルが高かったと思います。
確かにプライベートを重視する傾向は氷河期世代よりも強めで、「軟弱」「ドライ」と見る向きもありました。しかし、そもそもどういう職場かについては、会社説明会や面談時に「夜勤や残業がある」「悲嘆に暮れるあまり理不尽な遺族もいる」などといった“リアル”を包み隠さず話しており、事前に理解してもらっています。
会社にとって最も困るのは、1年の研修期間を経て、「仕事が合わないので辞めます」と言われるパターン。それを避けたいからこそ、マッチングを重視します。葬儀の世界は非日常で親近感が湧きにくいということもあり、入社しても「合わない」と言われる懸念は大きいため、指導者を常時張り付かせて現場に出るまで丁寧に育てます。それなのに辞められると初期投資を全て失うことになります。
そうして葬儀業界に入社してくるのは、ゆとり世代のなかでも「昭和寄り」なスタンスを持った層でした。物心ついた頃から不景気が続いており、上の氷河期世代が苦しんでいるのを見ていますから、バブル世代のような浮ついたところもなく、真面目に仕事に取り組む、堅実な人が多かったです。
小さい頃からデジタルデバイスに触れているのでITスキルも高く、貸与したiPad内の電子化されたテキストにも積極的にアクセスしてくれます。少なくとも葬儀業界において氷河期世代が生み出した「標準化」がこの世代で花開きました。
また、ゆとり世代が特に優れていたのは、遺族への対応がそつなく、スマートだったことです。インターネットやSNSを使ってきた結果、それまでの世代に比べ繋がる人が多くなり、相手の感情を理解する共感力に優れ、スマートなコミュニケーション能力を持っているように感じます。遺族に対してきちんと気を遣いながら、適切な距離も置けるので、遺族の悲しみに引きずられて精神的に疲弊することも少なかった印象です。
氷河期世代の一部には、「葬祭業の低い社会的評価をなんとかしなければ」という気負いがあったように思います。一方ゆとり世代にはそういった職業コンプレックスもなく、フラットに自分の仕事を好いています。この世代は、定着率も一番高かったです。
