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サントリーが背水の陣で投入した「サントリー生ビール」 その先に見据える創業家への「大政奉還」

新商品「サントリー生ビール」の勝算は(左から上白石萌音、山崎賢人、オズワルドの畠中悠、伊藤俊介。写真/産経新聞社)

新商品「サントリー生ビール」の勝算は(左から上白石萌音、山崎賢人、オズワルドの畠中悠、伊藤俊介。写真/産経新聞社)

 サントリーが新商品投入の先に見据えるものは何か──。〈【応援依頼】「サントリー生ビール」 本日新発売!〉。4月4日、全社員に向け、こんなタイトルのメールを送ったのはサントリーの鳥井信宏社長(57)。メールにはサントリーの社員が一丸となって新商品のブランド確立を応援していこうという旨の内容が書かれていた。

 この日、サントリーは新商品「サントリー生ビール」を発売。アサヒ「スーパードライ」やキリン「一番搾り」、サッポロ「黒ラベル」など大手各社が鎬を削る国内酒類の最激戦区であるスタンダードビール市場(中価格帯)に新商品を投入した。

 人気ブランド「ザ・モルツ」の家庭向け販売を3月で終了し、背水の陣でこの新商品に懸ける。

 昨年7月、サントリーグループでは傘下にある5つの企業を統合し、酒類事業を統括する新会社「サントリー」を発足させた。サントリーホールディングス(HD)副社長の鳥井氏がサントリーの社長を兼任し、酒類事業を牽引している。

 今年はサントリーがビール事業に参入して60周年。節目の年に、サントリー創業者・鳥井信治郎氏のひ孫にあたる鳥井氏がビール事業の陣頭指揮を執る意味は大きい。『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。

「サントリーにとってビールは“やってみなはれ”という創業精神を体現する象徴的な事業です。創業家は長く赤字のビール事業を抱えながら積極的に投資してきました。

 創業家出身で先代トップである佐治信忠氏(現・サントリーHD会長)の時代についに『ザ・プレミアム・モルツ』をヒットさせ、2008年に46年目で初めて黒字化しました。鳥井氏にとってもビールはサントリーのスピリットを表わす商品で、サントリー生ビールはプロモーションの熱量からも何としてでも売り伸ばしていく覚悟を感じます」

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