快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

「200万円アップ」も納得?トヨタ・アルファード、8年ぶりフルモデルチェンジで“豪華志向”が鮮明に 一方で「入手困難」の悲鳴も

押し出し感の強さと気品ある存在感を融合した、新型アルファードのエクステリア

押し出し感の強さと気品ある存在感を融合した、新型アルファードのエクステリア

 かつて憧れの車と言えば「いつかはクラウン」だったが、今では「いつかはアルファード」と言われるほどの人気を博している、トヨタ・アルファードが8年ぶりのフルモデルチェンジ。自動車ライターの佐藤篤司氏による連載「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、今回はドライビングによる試乗チェックを前に、話題の新型がどのような変身を遂げたのか、レポートする。

ファミリーカーの基準が変わった

 1980年代から90年代にかけて、日本の家族が揃って乗るためのファミリーカーとして「ミニバン」というセグメントが誕生しました。それまでも多人数乗車を可能にしていた1BOXはありましたが、それらは商用車をベースとしていて、いま考えれば決して乗り心地がいいというクルマではありませんでした。

 ところが乗り心地や運動性能において“快適”であることを目指して開発されたミニバンは、完全に1BOXとは違い、まさに「新しい乗用車」として高い支持を得るようになりました。マツダ・MPV、トヨタ・エスティマ、ホンダ・オデッセイなど、次々とヒット作が登場して話題となったのです。そのブームは軽自動車にも波及し、「軽トールワゴン」という独特のスタイルまで誕生させ、パイオニアとなったスズキ・ワゴンRや追従するダイハツ・ムーヴなどのライバルを生み出しました。

 そうした流れは、まさに「セダンからの脱却」といった様相を呈し、ファミリーカーの主力の座をミニバンが奪い取ったような状況でした。当然のことながら、この辺から日本のセダンの衰退が加速していくのですが……。

 さて車内の広さと快適な乗り心地を特徴とした新たなファミリーカーが人気となる中で、高級化への要求も強まり、そこで登場したのがプレミアム・ミニバンです。1997年に「プレミアム・ミニバンの元祖」となった日産・エルグランドが登場すると室内の豪華さだけでなく、V6エンジンのパワフルな走りと背の高さを感じさせない運動性能の良さ、きらびやかで押し出し感のある外観が、ミニバンというセグメントに、また新しい価値観を誕生させ、これも大ヒット作となります。

 そのライバルとして生まれたプレミアム・ミニバンがトヨタ・アルファードでした。当然のように多彩なシートアレンジから、車内での満足度の高いエンターテイメント性、さらに重要なのが、リアシートの乗員以外だけでなく、ドライバーの走りに対する欲望までも満足させるほどの運動性能を実現し、クルマとしての「憧れ」を醸成するに足る存在となったのです。

 つまり「いつかはクラウン」といった価値観が希薄となり、その代わりに「いつかはアルファード」といった日本独自のヒエラルキーのような価値観が形成されることになりました。近年では「アルファードに乗ってスタジオ・アリスに出向いて家族写真を撮る」などといった、新しい“幸せの構図”が生まれたとも聞いています。こうなるとクラウンの新型以上に、アルファードのモデルチェンジが注目され、「今度の仕掛けはどんなものだろうか? デザインは? 走りは?」となっても不思議ではないわけです。

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