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年金受給開始年齢「かつて55歳」「いま65歳」、将来はどうなる? 年金博士が語る「改悪の歴史」

 1986年(昭和61年)に施行された大きな年金制度改正では、女性の厚生年金受給開始年齢が1987年(昭和62年)から3年ごとに1歳ずつ引き上げられ60歳へとなりました。

平均寿命も延びるが…

平均寿命も延びるが…

「定年から5年遅れで受給開始」「10数年で亡くなってほしい」

 時代が平成に移ると、大きな改悪がたびたび行われるようになりました。

 1994年(平成6年)には、厚生年金の定額部分の受給開始年齢が段階的に65歳に。この時代から高齢化は顕著になってきます。女性の平均寿命は80歳を超え、82.98歳。こうしてみると、平均寿命と受給開始年齢が密接に関係しているのがよくわかります。

 1998年(平成10年)には、定年は60歳を下回っていけないと定められた「60歳定年制」ができあがります。年金は「定年から5年遅れてもらえる」ようになったのです。

 2000年(平成12年)には、定年を65歳とするよう努力義務が設けられ、同時に厚生年金の報酬比例部分の受給開始年齢も「65歳」へと段階的に引き上げられました。

 そして2021年(令和3年)、高年齢者雇用安定法改正により70歳定年の努力義務が企業に課せられました。平均寿命は男性も80歳を超え、女性は90歳に近づいてきています。

 過去の制度変更の経緯からは、定年から5年遅れで年金受給を開始し、10数年ほど受給したら亡くなってほしい──そんな政府の思惑が、はっきりと見えてきます。そうなると今後はどうなっていくのでしょうか。

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