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【年金「天国世代」と「地獄世代」】「生まれた年が違うだけ」で受給額に30%の差が出るカラクリ

現役世代が減ると、年金額が“半減”

 では、実際に年金受給世代の手取りはいくらになるのでしょうか。厚生労働省は、「夫が40年間サラリーマンとして働き(厚生年金に加入し)、妻が40年間専業主婦(第3号被保険者)の世帯」をモデル世帯として提示しています。

 モデル世帯の2019年の年金受給額は、夫婦合計で約22万円。それが、25年後の2047年になると、現在の価値で約18万円になると予想されています。

2047年になるともらえる年金は…

2047年になるともらえる年金は…

 さらに2022年、衝撃のデータが発表されました。2022年の出生数が2021年より4万3169人減少し79万9728人と過去最少となったのです。団塊の世代は出生数が250万人を超えていたので、その数は3分の1程度に落ち込みました。

 年金制度は事実上の“世代間扶養”です。現在は現役世代2人で1人の高齢者を支えていますが、支え手(現役世代)が減ることで、ますます年金財政は苦しくなっていくでしょう。

 そうした背景を踏まえると、年金額は前述の予想よりもさらに目減りしていくと示すデータもあります。ニッセイ基礎研究所によれば、厚生労働省の標準モデルの年金額である「月額22万円」は、「経済状況が横ばい」「出生率が低位で進む」という2つの条件が重なると「夫婦合計で11万440円」になると試算しています。つまり最悪の場合、「年金半減」があり得るのです。

 政府は、昭和40年代までは“年金バラマキ政策”を実施していましたが、昭和50年代から懸念され始めた少子高齢社会に対応するべく受給額を減らしてきました。そして、出生人口はさらに減り、有効な政策を打ち出すことができずに現在に至っています。このままではこれからの世代にとってはさらに厳しい未来が待ち受けることでしょう。現役世代の方は、それを踏まえて老後のライフプランを考えていくことが大切になります。

【プロフィール】
北村庄吾(きたむら・しょうご)/1961年生まれ、熊本県出身。中央大学卒業。社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー。ブレイン社会保険労務士法人 代表社員。YouTube「週刊人事労務チャンネル」で暮らしの役立つお金の知識を配信中。本記事に関する詳しい動画解説はhttps://youtu.be/lZ2fVUiNXD4で配信中。

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