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「熱中症になったら大変でしょ?」“エアコンをつけたがらない高齢親”を説得する子供たちの苦労

「我慢こそ美徳」という価値観

 金融機関に勤務する50代女性・Bさんは、暑さを我慢していることを自慢してくる80代の両親に呆れている。

「両親にエアコンを使うように言っても、『窓を全開にしていれば、自然の風が心地よい』『扇風機だけで十分』などと聞く耳を持ちません。しかも、熱中症で倒れた人のニュースを見ても、近所の人が救急車で運ばれても、『私は大丈夫』と謎の自信に満ちています。年齢を重ねると暑さを感じにくくなると聞きますし、不安です」(Bさん)

 Bさんはあるとき、「午前中は涼しいから」と言う両親に、昔のような暑さではないと説明した。

「今では公立の小中学校でもエアコンを設置している学校がほとんどで、昔のような暑さではないということを話したら、『いまどきの子供たちは暑さくらい我慢できないのか?』と怒っていました。親世代には『我慢こそ美徳』みたいな価値観があるのではないでしょうか」(Bさん)

エアコン=贅沢品? コンセントを抜いていた

 メーカー勤務の50代男性・Cさんは、80代の両親の「エアコン=贅沢品」という価値観に悩まされている。

「『エアコンをつけると電気代が余計にかかる』などと主張して、かたくなにスイッチを入れません。確かに昔は、エアコンの冷房機能は贅沢品だったかもしれないけど、いまや必需品ですし、性能も良くなっているので電気代もそこまでかかりませんよね。

 そんな状態で去年の夏、私が帰省したときにエアコンをつけようとリモコンのボタンを押しても、なぜか本体が反応せず……。電気代を節約するためにコンセントを抜いていたことがわかったんです。もう、あんぐりです」(Cさん)

 両親の考えを変えるべく、Cさんは熱中症の危険度が表示されるデジタル表示の温度計を送り、熱中症になった場合の治療費の話をした。

「温度計の表示の危険度が少しでも上がったらエアコンをつける約束をしてくれました。『熱中症で倒れて入院することになれば、治療費だってかかる。転倒してどこか負傷したら、寝たきりになることだってある。エアコンをつけて電気代を払った方が安かったと後悔することになる』と大げさに話しておきました。今年はルールを守ってくれているようです」(Cさん)

 エアコンをつけたがらない高齢親世代。その価値観を上手にアップデートし、エアコンを自主的に使うように仕向けるには、子供の根気強い説得も必要なのかもしれない。(了)

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