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【ふるさと納税】10月制度改正で返礼品が縮小へ 「食肉の熟成」と「玄米の精白」ルール厳格化で地元産品と認められなくなる可能性

【2】経費の上限の設定

 ふるさと納税を返礼する際の経費は、寄付額の約5割と決められていた。これは寄付額の半分以上を自治体のために使って欲しいという国の意向があるからだ。これまでも総務省は経費の内訳を調査していたが、グレーだった経費をこれから5割の枠内で規制する。主な経費の種類は次のとおり。

1.返礼品等の調達に係る費用
2.返礼品等の送付に係る費用
3.広報に係る費用
4.決済等に係る費用
5.事務に係る費用

 このうち、[5.事務に係る費用]に「ワンストップ特例に関する事務」や「寄附金受領証に関する事務」に関する費用が追加された。ワンストップ特例を利用した際にかかる、寄付を受けた自治体から寄付者が住んでいる自治体に寄付の金額等を連絡する費用や、寄付者本人に受領証を作成送付する費用も毎年報告するように求められたのだ。

 これらの制度改正によって、これまで認められていた返礼品が認められなくなったり、返礼品が縮小されたりするケースも予想される。

指導強化の背景に自治体間の不公平感も

 ふるさと納税について総務省が指導を強化しているのは、自治体間の競争が激化していることが背景にある。これまでふるさと納税は、自治体にとって臨時的な収入とされていたが、実際は高額な移住支援金や保育料の無償化など子育て対策等に使われるなど、自治体の経常的な経費にも使われていた。

 また、都市部の住民税が地方に流れ財源が不足する自治体が現れるなど、自治体間の不公平感も広がっている。東京都はホームページ上で、ふるさと納税で流出した都民税は571億円(令和4年度)で「特別養護老人ホームの施設整備費補助、約60施設分に相当します」と公表し話題になった。

 総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」(8月1日発表)によると、令和4年(2022年)度にふるさと納税を受け入れた額の多い自治体ランキングは次のとおり。

1.宮崎県都城市
2.北海道紋別市
3.北海道根室市
4.北海道白糠町
5.大阪府泉佐野市
6.佐賀県上峰町
7.京都府京都市
8.福岡県飯塚市
9.山梨県富士吉田市
10.福井県敦賀市

 7位には、財政が厳しいと報じられることもある京都市が入っている。京都市の受け入れ額は前年度比52%増の95億円で大幅に順位を上げた。

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