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【飲食店の原価】宅配ピザが「1枚2000円台」を死守したいカラクリ 注文が増えすぎると配送料が収益を圧迫

「お持ち帰りは半額」が可能になるワケ

 今年3月、大阪府茨木市に本社を置く「シカゴピザ」が負債額15億円で倒産したが、原因は人件費の高騰によるコスト増だったという。坂口氏が続ける。

「時給1000円のアルバイトにバイクで宅配させるとなると、往復30分かかる家に届けた場合、それだけで時給の半分の500円の人件費をかけた計算になる。人材不足で時給を上げても人が集まらないのが現状で、注文数や配達エリア、スタッフの配置などを工夫してデリバリーの効率をいかによくするかが利益率を左右するキモとなります」

 いかに配送料が料金に占める割合が高いのかは、ドミノ・ピザやピザハットが「お持ち帰りはデリバリー価格から半額」、ピザーラが「2枚お持ち帰りで1枚無料」といったキャンペーンをしていることでもわかる。燃料代の高騰で料金に占める配送料の割合がさらに高くなっているなか、配達しない持ち帰りなら半額にしても儲けが出るわけだ。坂口氏が言う。

「原価を左右するのが人件費と燃料代という宅配ピザ業界。これまでは原価が安く収まっていたのにデリバリー価格を1枚2000~2500円から値下げしてこなかったのは、安くするとオーダーが入りすぎて配送スタッフが足りなくなり、配達できなくなる一面があった。しかし、現状では利益がほとんど出ない状況に追い込まれている。デリバリー効率を高めるとともに、都市部の店舗では商圏を短くして自転車でもデリバリーできる人材の確保を急いでいる」

 コロナ禍での“巣ごもり需要”で売り上げを伸ばした宅配ピザ市場だが、その最大の特徴である「宅配」が収益を圧迫するというかたちで、曲がり角に立たされているということか。

(※飲食店の原価・全4回了。第1回・ラーメン編から読む

次のページは、【参考】2020年の「そば」「うどん」「ファミレス」「中華」チェーンなどの原価一覧
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