藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

「えっ?NISAなら全部非課税でしょ?」の誤解 配当金には要注意、損が出ているのに税金を取られるケースも

NISAでも税金がかかるケースとは?(写真:イメージマート)

NISAでも税金がかかるケースとは?(写真:イメージマート)

 NISA(少額投資非課税制度)は一定範囲内で利益や配当金に税金がかからなくなる制度だが、例外として税金がかかる場合もある。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第66回は、「NISAと税金」について。

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 NISAについて、“投資して税金がかからない制度”といったふんわりした認識の人は多いようです。そのとおり、NISA口座内の値上がり益や配当金には、税金はかかりません。ただし、もうすこしディテールまで理解しておくと、より賢くNISAを利用できます。

配当金に課税される場合も

 通常、投資で得た利益には税金がかかります。安く買って高く売ったときの値上がり益、また株式や投資信託を保有しているともらえる配当金や分配金、どちらも20.315%の税率です。ただし、ご存じのとおり、NISAを利用すれば、それらの税金が非課税になります。ところが、場合によっては配当金に課税される場合があるので要注意です。

 配当金の受け取り方法には、4つの方法があります。

【1】郵便局や銀行で直接受け取る「配当金領収証方式」
【2】銘柄ごとに指定の金融機関に振り込んでもらう「個別銘柄指定方式」
【3】証券口座で受け取る「株式比例配分方式」
【4】銀行口座で受け取る「登録配当金受領口座方式」

 じつはこの中で、非課税になるのは【3】の「株式比例配分方式」のみです。ほかの方法を選択している場合は、NISA口座内であっても課税されます。心配な方は、ご自分の証券会社の設定が「株式比例配分方式」になっているかどうか確認しましょう。

 もうひとつ、外国株を保有している場合は、配当金に対し10%の外国税の源泉徴収がなされます。NISA口座内であればすべて非課税と勘違いして、外国株をたくさん保有している場合、あとから「あれ?」と慌てることになりかねません。しっかり念頭に入れておいてください。

現行NISAの非課税期間が終了したあとはどうなる?

 2024年からスタートする新NISAは、非課税期間が無期限ですが、現行NISAについては、非課税期間が終了すると、売却しなければ自動的に課税口座へ移管されます。その場合は、課税口座へ移管された時点の金額が購入額としてみなされます。たとえば、NISA口座から課税口座へうつされた額が100万円だとします。その後120万円まで上昇したときに売却すれば、20万円の利益に20.315%課税されます。

 ここで注意したいのは、実際には利益が出ていないのに課税される場合があることです。たとえばNISA口座でA株を100万円購入し、非課税期間終了のタイミングでは80万円に下落していました。そのまま課税口座に移管され、90万円のときに売却したとします。つまり100万円で買って90万円で売却していますので、実質10万円の損失です。ところが、課税口座に移管されたときは80万円ですので、90万円で売却すれば、10万円の利益とみなされ、約2万円の税金がかかります。損した上に、税金も取られるという“泣きっ面に蜂”状態です。

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