子供や孫の生活を援助して生活苦に陥る本末転倒
AさんやBさんのように、本来親が払うべき孫の生活費や教育費を負担するケースは決して珍しくない。
「“パラサイト孫”が増えている」と語るのは、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんだ。
「内閣府の調査によれば、60才を過ぎても18才以上の子供や孫の生活費を一定以上負担している人が2割いるという結果が出ていますが、私の実感ではもっと大勢いると思います。子供や孫の生活を援助することで自らが生活苦に陥ってしまうパターンほど本末転倒なことはありません」
親族同士の見栄の張り合いでかける金額が膨れあがるケースもある。会社員のCさん(55才)は孫の誕生から1年ですでに100万円もかかったと打ち明ける。
「長男の嫁はいわゆるお嬢様で、あちらの実家はかなりの資産家。孫が生まれたとたん、ありとあらゆる育児ブランド用品をプレゼントしていました。私たちは関係ないと静観していたら息子から“おれの立場がない”と言われてしまい、つい息子かわいさと自分の見栄から“何が欲しいの?”と聞いたのが失敗のはじまり。
ブランド品をねだられ、気づくと高級離乳食やおやつの定期購入まで契約させられてしまったんです。出費は毎月5万円。私も夫もまだ現役ですが、次男は大学生で長女は大学受験を控えています。住宅ローンも残っているので、生活はぎりぎり。いつまでも続けられるものではありませんが、やめるとも言いづらくて……夫もあきれていて夫婦仲までぎくしゃくしてしまって老後が不安です」
やめどきを逸してしまうと、その先に待ち受けるのは老後破産だ。
「毎年お正月に、子供夫婦と孫たちと家族旅行に行くのが楽しみで、費用を全額負担しているというご夫婦がいらっしゃいました。年末年始の旅費は高いので1回70万~80万円という費用を、何年も払っていたのです。すでにおふたりとも年金暮らしだったので、貯金は減る一方。
まだ70代に入ったばかりだというのに気づいたときには貯金が1000万円を切っていました。このように赤字がかさんで危険な状況になってから、相談にこられるかたは珍しくありません」(畠中さん)
※女性セブン2024年1月1日号