キャリア

【東大からの合格者が激減】優秀な学生の「キャリア官僚離れ」に政府も危機感 長時間労働、やりがい喪失などの要因

「官僚離れ」に歯止めがかからなければ…

 これらの取り組みの効果もあってか、2023年度の秋試験では総合職「教養区分」で前年度比65.9%増の423人が合格した。だが、このうち2026年度に採用となる19歳の合格者が43人と10.2%を占めている。合格者全員がそのまま国家公務員になるわけではないのだ。

 優秀な学生の「キャリア官僚離れ」に歯止めがかかるかどうかは、もう少し時間が経たなければ評価はできない。

 今後も長期にわたって国家公務員試験を取り巻く環境をとらえると、厳しさはさらに増しそうである。日本の出産期の女性人口の減少は「動かし難い未来」であり、今後の出生数は減り続ける見通しだ。それは国家公務員試験の受験対象年齢の人口は減り続けるということである。

 さすがにキャリア官僚が定員割れする事態は想定しづらいが、優秀な学生のキャリア官僚離れが拡大したならば、採用したいレベルの人材を確保できない省庁が出てくるだろう。

 官僚の質の低下が現実のものとなれば、国家運営はダメージを避けられなくなる。

後編に続く

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。

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