田代尚機のチャイナ・リサーチ

【電気自動車開発】テスラやアップルも追い落とす中国企業の競争力 参入から間もない企業がなぜ価格競争で一歩リードできるのか

シャオミが4月3日より発売を開始した電気自動車「SU7」(Getty Images)

シャオミが4月3日より発売を開始した電気自動車「SU7」(Getty Images)

先行する米国企業を必死に追いかけた中国企業

 自動車をパソコンやスマホと同じようにOSで管理し、そのOSを支配すれば、そこにいろいろなアプリケーションを載せることによって高収益のプラットフォームビジネスを展開できる。アップルも、小米集団も、ビジネスの広がりに大きなチャンスをかぎ取ったのは同じはずだ。

 自動運転を含め、化石燃料自動車から電気自動車に転換することによるビジネスの飛躍的な広がりをいち早くかぎ取ったのは、テスラ、アップル、グーグルをはじめとする米国勢であり、それを必死に追いかけたのが中国勢だ。

 BYDのように1995年設立といった歴史のある企業もあるが、生産量で大手の一角に食い込む理想汽車、蔚来集団、小鵬汽車などは2014、2015年にゼロから創業している。投資決定にしても、設備投資にしても、生産から販売に至るまでの体制造りにしても、とにかく中国企業は迅速だ。

 アニマルスピリットに富み、知的水準の高い(潜在的な)経営者の数、直接、間接金融を最大限に利用した資金調達力、優秀な研究者、技術者を集める能力といった点で米国企業が中国企業に劣るとは思えない。

 違いがあるとすれば、自国市場の大きさ、製造業全般、特に自動車周辺産業の広がり、質、厚み、安全面を含め開発速度に影響するだろう規制による制約の少なさ(当局さえ認めれば既存の規制に縛られないで事業を展開できる社会システムの柔軟さ)、国家が重点産業として認めることによる総合的な事業環境の良さなどではなかろうか。

 こうした違いは、イノベーションを牽引する産業全般について当てはまる。中国を封じ込めるのは容易ではない。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。

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