中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「貧困妄想は他人事ではない」円安・物価高が進む日本でじわじわ忍び寄る“言いようのない将来不安”

「とにかく安い食事をしなくては」と1袋20円のチンゲン菜に目が行く

「とにかく安い食事をしなくては」と1袋20円のチンゲン菜に目が行く

年金はもらえるのか? 物価がさらに上がったらどうするのか?

 とはいえ貧困妄想については、私も一部共感できる部分があります。何しろ、自分はフリーランスで日々の収入も不確かな身ですし、老後の年金だってそれなりの額の厚生年金が受け取れるサラリーマンと比べれば圧倒的に低い。私は第二次ベビーブーム世代でもっとも人口の多い1973年生まれで、このまま少子高齢化が進めば、受け取れる年金の額なんて雀の涙になっているのでは……という不安を持ってしまうのです。

 今は貯金があるものの、円安がこれ以上進行し、食材の価格が高騰した場合どうなるか。それこそ、今は1リットル300~400円ぐらいで買えるサラダ油が1000円とかになる未来だって考えられる。

 そうなると、同氏のように「とにかく安い食事をしなくてはマズい」と考えるようになってもおかしくない。それこそ、路傍に生えているヨモギをおひたしにしたり、エサ代をかけないためにルアーを使って魚を釣る、とかを考える。

 何しろ今の日本には希望がありません。外国人様が「このクオリティがたったの10ドルなのか! アメリカだったら50ドルだぜ!」なんて言うような状況にあり、普通の外国人が当たり前のように買えるものを、日本人の多くが買えなくなってしまっている。

 居酒屋だって、1回行けば1人8000円は当たり前、なんて世界になるかもしれないわけで、私のように固定給がない人間はそういった不安を持ってしまいがちなのです。そりゃ今こそ貯金はそこそこありますが、でも、とにかく言いようのない将来不安があるのです。だから、ABEMA Primeに出演した男性の「貧困妄想」は他人事とは思えません。皆さんは将来は不安ではないですか? 不安でないのならば、その自信がどこから来るのか教えてほしいです。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など多数。最新刊は『日本をダサくした「空気」』(徳間書店)。

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