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「墓じまい」の落とし穴

“墓じまいブーム”の先に見える“墓なき時代” 宗教学者・島田裕巳氏「日本人は墓に囚われすぎている。本来、墓程度のことに悩む必要はない」

宗教学者・島田裕巳氏は「墓じまい」ブームをどう見るか

宗教学者・島田裕巳氏は「墓じまい」ブームをどう見るか

 遠方の墓参りは負担が大きすぎる、実家の墓を継ぐ人がいない──様々な理由で墓じまいを考える人が増えているが、「やらなきゃよかった」と後悔する人も絶えない。

 昨今の墓じまいブームについて、宗教学者の島田裕巳氏は日本社会独特の移り変わりを見る。

「かつて日本の葬儀は土葬が主流で、埋葬された遺体は文字通り土に還っていました。土葬時代の石塔は遺体の埋葬場とは別の場所に建てられていたので容易に撤去できた。しかし明治以降に火葬が主流になり、骨あげされたお骨が墓に残るようになると、墓を簡単に撤去できず放置するわけにもいかなくなりました。これが墓の扱いを難しくしている要因の一つです」

 土葬時代にはお参りのための「参り墓」があり、地域で管理する風習があった。火葬が主流になり墓を「所有」する概念が広まり、さらに高度経済成長期を経て墓ブームが到来したという。

「バブル時代、憧れのマイホームが買えない世代は家の代わりに郊外に墓を作りました。それから30年以上が経ち、高齢化した彼らは墓参りに行くことが難しくなってきた。墓が“やっかいな存在”に変わってきたのです。

 昨今の墓じまいブームは人々が墓を持て余すようになった結果でしょう。今では親戚の墓など1人で2~3基の墓を見ているケースが少なくない。墓が増えすぎたことの弊害と言えます」(同前)

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