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中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

江藤拓・前農水相の「コメを買ったことがない」失言を考える 「確かに地方には“食べ物をあげる文化”がある。でも立場を考えて発言すべき」の指摘

筆者が知人からもらった大量の野菜

筆者が知人からもらった大量の野菜

 私の場合、海外に行った時にこの方にお土産を買ったり、農作業を手伝ったりもしますが、関係性が良い相手には農作物や魚・ジビエを渡すのは、地方では当たり前の光景になっているのです。小屋作りを手伝った日とは別日には、軽トラの荷台いっぱいに収穫した野菜を積んで帰って、唐津に戻って様々な知人にこの野菜を配ったりもしました。育ち盛りのお子さんが4人いる家が「ウチは米を月に40kg食べる」と言っていたのを思い出し、同氏の勤務先まで新たにもらった30kgの米を渡しに行きました。

 さらには、「うちの梅林に勝手に入って梅を取って構わない」と言われたり、裏庭の整備も兼ねてタケノコ掘りBBQをしたり、「庭にシソが生え過ぎて困ったからアンタ受け取って」と大量のシソをもらったりもしました。

 罠にかかったイノシシの解体現場に呼ばれて、大量の肉をもらう機会も3年連続です。「キウイが取れ過ぎたから引き取ってくれ」と農家のお爺さんから言われ、持って来たのが大きな段ボールに入ったグリーンとゴールドのキウイ120個。「タダでいい」と言うものの、さすがに申し訳ないので3000円渡しました。となると、今度は私が知人にこのキウイを配ることになるのです。

グリーンとゴールドのキウイ120個

グリーンとゴールドのキウイ120個

再び「自民党にお灸を据えてやれ」となるか

 かくして知人やお世話になった人には農産物・海産物・ジビエを渡すのが当たり前になっているのですが、江藤氏も本音では「まさかこの発言が批判されるとは……。というか、地方出身の国会議員は、皆同じような感じだろ!」なんて思っているかもしれません。

 しかし、農水大臣というまさに米価と供給を左右する要職にいる人物としては、間違いなく失言だった。事実上の更迭は当然でしょう。思い返せば、2007年から2009年の自民党政権では、「女性は産む機械」と発言した厚労大臣や、原爆を落とされたのは悲惨だが、戦争が早く終わったという意味で「しょうがない」と発言した防衛大臣など、閣僚から失言が相次いだのですが、その当時を彷彿とさせます。

 結局2009年の衆議院選挙では「自民党にお灸を据えてやれ」とばかりに、民主党による連立政権が誕生したのです。さて、もうすぐ参議院選挙です。今の空気感では「裏金問題」があやふやになっていることに加え、石破茂首相自身も10万円の商品券を配っていたことが明らかになったこと、さらには江藤氏の発言が決定打となり、「お灸を据えてやれ」になる可能性もあるかもしれません。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は倉田真由美氏との共著『非国民と呼ばれても コロナ騒動の正体』(大洋図書)。

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