再婚を後押しした娘さんの言葉
それでも「再婚」を決意したのは、子安氏の一人娘から「結婚したほうがいい」との言葉があったからだった。
「先生の大きな家には当時、娘夫妻が同居していました。先生を訪ねると一緒に食卓を囲むこともあり、その時に彼女から『コロナ禍で緊急搬送された際には夫婦関係でないと救急車に同乗もできないし、緊急手術があった場合にジャッジが下せない。それはお互いに不利だろうから、婚姻関係を結んだほうがいい』と背中を押されたのです。娘さんからもらった言葉が、結婚を決断するうえでとにかく大きかった」
結婚後は子安氏が娘夫婦と暮らしていた自宅に迎えられ、同居生活が始まったが、その後は娘夫婦が家を出て、今は家を手放し小さなマンションでの夫婦2人暮らしだ。
「先生はもちろん当たり前のように娘を愛し、自分の気持ちより相手の気持ちを尊重して喜ぶ方です。その先生が『久子と暮らすことは譲れない』と主張したのです。残りの人生を夫婦2人のためだけに生きる──それが人生の最終ステージの私たちの決断です」
様々な経験を経た末に「熟年再婚」を決断した人に、もう迷いはない。
※週刊ポスト2025年6月6・13日号