炊き方を工夫すれば国産米と遜色ない仕上がりのカルローズ米(筆者撮影)
筆者は、近所のドラッグストアでカルローズ米が販売されていたので(5キロ3580円+税)、購入して食べてみた。一般に「パサついている」「甘みがない」と評価されることもあるカルローズ米だが、炊く前に十分に水に浸し、国産米を炊くときより2割近く水を増やして、炊く時間も1分ほど長くしたところ(うちでは鍋とコンロで炊いている)、普段食べている安い国産米と比べても、遜色ない仕上がりに感じた。中粒種なので、細長い米粒も混じっているが、食べていて気にはならないし、十分おいしい。ちゃんと炊いたご飯なら、ブラインドテストで外国産米だと気づく人は少ないように思う。
「“平成の米騒動”の頃に外国産米を仕入れたことはあるが…」
すずやの杉山氏に外国産米を使うことを考えたことがあるかと聞いたところ、「“平成の米騒動”(1994年)の頃に外国産米を仕入れたことはありますが、今回はそこまでではなく、今のところ使用は考えていません。この2年でメニュー価格を2回改定し、1割ほど値上げして、なんとかコストを吸収しています」(杉山氏)との回答だった。
しかし、スーパーや米穀店などでの米の市場価格は、総務庁統計局の「小売物価統計調査」によると、2023年4月に2303円だったのが、2025年4月には4770円と2倍以上に跳ね上がっている(東京都区部:コシヒカリの平均価格)。
こうなってくると、すずやに限らず、ご飯を提供する外食産業が、なんらかの対策を迫られるのは想像に難くない。
特に、全国に多数の店舗を展開する大規模な外食チェーンともなると、調達量が桁違いに多くなる。小売価格と業者間の卸価格は異なるとは言え、値上げによるコスト吸収だけでは追いつかず、国産米の使用継続が厳しくなるのではないか。特に牛丼などの丼物や回転寿司のチェーンなどは、食材の中で米が占める割合が大きいはずだ。
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取材・文/清水典之(フリーライター)