品薄が続くスーパーの米売り場(時事通信フォト)
米価高騰を受けて小泉進次郎・新農水相が目指す政府備蓄米「5キロ2000円台」での店頭販売。随意契約への申し込みは多数あったが、売り渡される備蓄米には2021年産の「古古古米」も含まれることから、販売業者らのなかには「売り物になるのか」との懸念も出始めている。そんななか、今年に入って外国産米の輸入が急増し、スーパーの店頭でも外国産米の存在感が増す。国産米とのブレンドを含め、外国産米が徐々に浸透しつつあるなか、「ご飯もの」を提供する外食店では、現在、どのように「米価高騰」に対策しているのか。フリーライターの清水典之氏がレポートする。
* * *
「以前は山形県産の『つや姫』を仕入れていましたが、昨年の秋口から『はえぬき』に切り換えました。同じはえぬきでも産地によって品質と価格が異なるのですが、米の仕入れ価格が3〜4割上昇しているので、こちらが希望する産地のはえぬきには手が出なくなっています。キロ100円の差でも年間の使用量で考えれば、仕入れの負担は大きいです」
そう語るのは、「とんかつ茶づけ すずや」を新宿、秋葉原、亀有で営業しているすずやの代表取締役・杉山元茂氏である。同店の名物は創業当時から愛されている「とんかつ茶づけ」。同店では「ご飯のおかわり無料」サービスも人気で、名物のとんかつ茶づけを注文する客は、ご飯をおかわりして、〆にとんかつと炒めたキャベツをご飯にのせてお茶づけにして食べるのが定番だ。そんな同店でも、米価格の高騰で、今まで仕入れていた産地・銘柄の米に手が出せなくなっているという。
この店の常連客から、「最近、店内に貼ってあった『山形県産つや姫を使用しております』というポスターがいつのまにかなくなっていた」という声も聞こえていたが、やはり米価格高騰の外食産業への影響は少なくないようだ。
備蓄米が放出されても、米の価格は一向に下がらない。国産米の価格高騰、手頃な価格で仕入れることができる米の品不足を受けて、最近は外国産米の輸入が急増している。2024年度(2月末時点)の主食用外国産米の輸入量は1497トンだったが、2025年度はその20倍前後の4万トンに達するとの報道もある(日経新聞2025年4月25日付朝刊)。
スーパーなどの店頭に並ぶ外国産米の存在感も大きくなった。5月13日には、流通大手のイオンが米カリフォルニア州で生産されている中粒種(日本米=短粒種とタイ米など長粒種の中間)の「カルローズ米」を4キロ2680円税抜き(5キロ換算で3350円)で販売すると発表し話題になった。