1時間にわたるインタビューで自身の投資キャリア、子育てを語った(提供写真)
米ハーバード大学を卒業後に来日、お笑いコンビ「パックンマックン」を結成以降、タレントとして30年近いキャリアを積んだパックンこと、パトリック・ハーラン(54)。情報番組などのコメンテーターとしてもお馴染みだが、実は芸人になる前に英会話教師をしていた時代から投資を始め、30年近い投資歴をもつ。個別株投資での失敗を経て、現在は極めて堅実、超保守的な投資手法だというが、一方、現在高校生の2人の子供が幼い頃から“マネー教育”を実践しているという。今年4月には『パックンの森のお金塾 こども投資』(主婦の友社)を上梓したパックンにロングインタビュー。フリーライターの清水典之氏が聞いた。【全文】
目次
子供の頃は「人並みに投資ができるようになりたい」と思っていた
──株式投資を始めたきっかけは何ですか。
うちはシングルマザーの家庭で貧しかったので、子供の頃から、母はよく「いつか投資ができるようになりたいね」と言っていました。アメリカでは投資をするのが普通のことなので、人並みに投資ができるようになりたいという気持ちがありました。
1993年に大学を卒業して、日本に来てから、ようやくそのチャンスが訪れました。
私が通っていた頃のハーバード大学の学費は、(年1300万円程度と言われる)現在よりは安かったのですが、それでも、うちのような家庭だと、とても払えません。だから、4分の1を親から出してもらい、4分の1をアルバイトで稼ぎ、4分の1を大学からの支援金(返済不要の奨学金)、4分の1を返済が必要な奨学金で賄いました。
大学卒業後に日本に来て、最初は英会話の先生として働いたのですが、奨学金返済のために生活を徹底的に切り詰めました。古い一軒家を家賃4万円で借りて、他の先生たちとシェアして、月の生活費を数万円くらいに抑えた。友人と飲むときも、家の車庫に集まって焼酎の「大五郎」を飲んでました(笑)。
そうやって生活を切り詰めて、一生懸命働いたら、2年ほどで数百万円あった借金を完済できたんです。ただ、返し終わったからといって、贅沢な生活をしようなんて思わなかった。今までと同じように質素な生活をすれば、余裕ができて投資ができるようになると思ったんです。
株式投資は1995年の秋から始めました。当時はドットコムバブル(ITバブル)に入る頃で、友人が株で儲けて外車に乗っていたりして、うらやましいと思った。私はそれなりに学歴があるし、人よりも多少、賢いだろうから、同じように株式投資を始めれば必ず儲かるだろうという、驕った考えを持っていたんです。
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次のページからは投資を始めたばかりのパックンが直面した「株式投資の現実」と、ITバブル崩壊を機に変えた投資スタイルの詳細、現在のポートフォリオなどについて詳しく語っている。