「寺院直接経営型」の納骨堂にも注目が集まる(写真:イメージマート)
近年の墓じまいブームもあり、アクセスがよい都市部を中心に人気を博してきた納骨堂。平均購入金額は79万3000円と割安かつ多くの納骨堂では永代供養をしてくれるため継承者問題にも対応する。
しかし、ここ数年は利用者が横ばいで既に飽和状態だとも指摘されている。2022年には北海道札幌市の宗教法人が運営する、推定売り上げ5億円の都市型巨大納骨堂が経営破綻して約1000柱の遺骨が行き場を失った。
そうしたなかで新たに台頭してきたのが「寺院直接経営型」の納骨堂だという。国内唯一の“終活”専門誌『月刊終活』編集部の垪和千鶴氏が語る。
「納骨堂は檀家離れで経営難になった寺院が民間企業と組み、都市部にマンション型やビル型の納骨堂をどんどん建ててきました。特に首都圏は数千から1万柱規模のタワー納骨堂が乱立しましたが、過当競争とも言われます。
そんななか、寺院が直接経営する納骨堂に注目が集まっています。営業代理店などを通さずに営業や販売、運営などをすべて自前で行なうことで経営の健全化と目が行き届いたサービスの提供を実現しています。例えば、東京都荒川区にある自動搬送式納骨堂の『東京御廟』は宗教法人の光明寺が自ら運営管理し、その安心感から開設して6年で約3800基を完売しました」
合祀墓を選ぶ際は事前に家族と意見をすり合わせを
このほか需要が高まっているのが「合祀墓・合葬墓」だ。複数の遺骨をひとつの墓に埋葬し、管理者が遺族に代わり永代供養するタイプで、平均購入金額は3万~30万円。公益財団法人全日本仏教会と大和証券が行なった「仏教に関する実態把握調査2024年度」によると、合祀墓が購入の選択肢になる人の比率は70.2%と高い。『月刊終活』編集長の吉住哲氏は言う。
「ただし、本人は合祀墓を望んでも後々改葬できなかったり、家族が合祀を望まなかったりするケースがあります。合祀墓を選ぶ際は事前に家族と意見をすり合わせることが必須です」(吉住氏)
墓は死んだ後もずっと残るだけに、生前の慎重な判断が欠かせない。
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※週刊ポスト2025年8月1日号