「スタンダード市場の小型割安株が狙い目」だという(写真:イメージマート)
株式投資で成功している“億り人”たちは、いまどのようなテーマに注目しているのか──。独自の投資哲学や成績をXや書籍で積極的に発信し、初心者にも分かりやすい解説で多くの支持を集めている、資産4億円超の個人投資家・ヘム氏がいま注目しているのは「スタンダード市場」だという。その根拠を解説してもらった。
「関税をめぐる日米交渉が合意に至ったことで市場に安心感が広がり、日経平均株価も上昇していますが、そういったマクロなことを事前に予測するのは難しいし、今後どうなるかも分からない。それよりも、もっとミクロな部分に着目して、目に見える事柄をもとに理論立てて考えながら投資の方向性を導き出していったほうがいいと思います。
私は最近、東証(東京証券取引所)の動きを注視しています。結論から言うと、東証の市場区分見直しに伴う“改革”によって、スタンダード市場の小型割安株が狙い目だと思っています」(ヘム氏、以下同)
東証は2023年、上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請し、PBR(株価純資産倍率)が低い企業を中心に資本効率の改善を求めた。それを受けて、上場企業は採算性の悪い部門を切り離して稼げる部門に経営資源を集中したり、余剰資金を自社株買いや増配などに活用したりして資本の効率性を高めることで、株価やPBRの上昇を目指すことが求められている。
「東証は上場企業に対し、『資本コストや株価を意識した経営』に向けた取り組みの開示を求めており、要請に従って開示をした企業の割合を定期的に公表しています。直近(2025年5月末時点)のデータによると、プライム市場だと88%の企業が開示している一方、スタンダード市場だと開示している企業は41%しかない。59%がまだ開示しておらず、東証からの要請に応えていないことになります」