【2】情報の非対称性の高さ
明正氏は、「屋根は、一般消費者と業者が持っている情報の差が大きい」と指摘する。屋根まわりは『目に見えない』部分が多いため、正規のリフォーム提案と詐欺の見極めが難しいのが現実だという。
「業者を名乗る人に屋根の劣化や破損などを指摘された場合、一般消費者には確認しようがないため、鵜呑みにしてしまいがちです。新築だと『そんなはずはない』とも思えますが、築30年ほどの戸建てだと『たしかに、そろそろ屋根の劣化もあり得るかも……』と思ってしまう。
実際、屋根材によっては劣化が早いものもあります。瓦であれば50年、100年の寿命がありますが、下地となる『スレート』は、表面塗装の劣化に応じて10~15年で再塗装、20~30年でカバー工法や葺き替えを検討します。また、屋根下地は部材にもよりますが、一般に20年程度で点検・補修が必要になることがあります。さらに、相場も屋根材や屋根の広さなどにより変動するため、正規の工事でも数百万円の費用がかかることがあります。実際は200万円で済むところ400万円請求されたとて、『普通はこのくらいかかる』と言われたら納得してしまうでしょう」
【3】不安をあおられやすい
くわえて「放置すると雨漏りの危険がある」「台風で瓦が吹き飛んで近隣に迷惑がかかる」などのリスクを説明され、不安をあおられて契約してしまうケースも珍しくない。実際に、梅雨や台風の時期はトラブルが多くなりやすいとのことだ。
「全国的に最も増加するのは、災害の直後です。地場業者に依頼が殺到するタイミングで、『応援に来ました。すぐに工事できますよ』と謳い、相場の数倍の費用を請求されるといったケースが多発します。2019年房総半島台風の際にもよくみられました」
さまざまな要因が複合して、被害が増加している“屋根リフォーム詐欺”。トラブルを回避するためにはどうしたら良いのだろうか。後編では、実際の手口とその対処法について解説している。
■後編記事につづく:急増する「屋根リフォーム詐欺」に遭わないために“絶対にしてはいけない”こと “無料点検”後に「屋根材にヒビが入った写真を見せられ…」は典型的な手口