大金を投じた出資者たちの怒りは収まらない(筆者提供)
高利回りを謳い、個人投資家から2000億円超を集めた不動産投資商品「みんなで大家さん」。本誌『週刊ポスト』では、数年前から実情に疑念を抱いていた行政、金融機関とのやりとりや実態を偽るような内部資料について報じてきた。
そんななか、投資家をつなぎ止めてきた配当が2か月連続でストップ。不安と怒りがピークに達した出資者がついに動き出した──。問題を追及してきたノンフィクション作家の森功氏が出資者らの訴訟の動きをレポートする。(文中敬称略)【全3回の第1回】
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「3年くらい前です。みんなで大家さんを2口(200万円)買いました。北九州の農園とシリーズ成田で、順調に配当が振り込まれていたので、心配していなかったのです。でも成田はやっぱり怪しかった。7月の配当がなくなって、みんなで大家さんの会長がネットで言い訳していたけれど、これはダメだと思いましたね。私の配当は8月末でしたが、それも止まってしまった。解約しようとメールしたけれど、梨のつぶてです」
そう嘆く個人投資家がいた。18ある投資ファンド「シリーズ成田」の配当がすべて止まってしまったみんなで大家さんが、いよいよ集団訴訟を起こされそうだ。
「そもそもみんなで大家さんについては、10年ぐらい前から当事務所の弁護士が相談を受けてきました。今回のシリーズ成田についても、今年の5月頃から『分配金が止まる』という情報をいただいて、注視していたところでした」
そう説明してくれるのは、東京都内のリンク総合法律事務所に所属する弁護士の小幡歩だ。
「出資金の返還訴訟を提起します。現時点(9月12日)の依頼者5名(出資額は1億4000万円)によるものですが、ご相談が殺到していて、すでに300人ほど、出資額でも20億以上になっています。今後もっと増えると思いますので、この次にはさらに大きな規模の集団で提訴することになると考えています」
共生バンクグループがその中核である「みんなで大家さん販売」を窓口にして全国の投資家からかき集めた出資金は、2000億円を超える。うち問題となっている投資対象事業「共生日本ゲートウェイ成田」プロジェクト(PJ)の投資額は、1500億円超と75%を占める。その配当がすべて止まったので、出資者たちがテンヤワンヤしているのだ。