「金銭絡み」のトラブルで退居を通告されるのはどんなケースか(イメージ)
住み慣れた家を離れ、老人ホームへの入居が決まった。だが「これで一安心」――と安堵するのは早計だ。終の棲家として選んだホームから突然「出て行ってください」と退去通告を言い渡される事例が頻発しているのだ。
トラブル増加の背景
自宅での生活が困難になり、介護施設への入居を検討する際、多くの人が第一選択肢とするのが有料老人ホームだ。
厚生労働省の調査によると、全国の有料老人ホーム施設数は1万6543棟(2023年6月末)。10年で約2倍に増えた。
自立生活が可能だったり、介護認定の結果、要支援または要介護度が低いケースでは「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」も視野に入るが、持病や認知症の進行が不安視される場合は24時間介護の「介護付き有料老人ホーム」(2023年6月末時点の施設数4464棟。厚労省調べ)への入居が現実的な選択肢となる。
だが、たとえ希望するホームに入居できても、そこが「終の棲家」になるとは限らない。
老人ホームアドバイザーの伊藤直剛氏(N-TAKE代表取締役社長)が言う。
「近年、施設側からの『退居通告』をめぐるトラブルは増加の一途を辿っています。主な原因は代金の未払いや滞納、他の入居者や職員とのトラブル、病気の悪化など。近年は『入居一時金』が不要の施設が増え、入居者の間口が広がったことも、トラブル増加の背景にあると考えられます」