二次相続で「小規模宅地等の特例」を使うにはどんな方法があるか(イメージ)
親から子への相続において、多くの人が直面するのが「二次相続」の問題だ。相続に関する情報を自身のYouTubeチャンネルで配信する税理士の勝部貴史氏(勝部税理士事務所代表)が語る。
「平均余命から母が遺されるケースが多く、父の死後の相続(一次相続)では相続税がゼロまたは少額の納税で済んだのに、母の死後の相続(二次相続)では、その子供らに多額の相続税負担が発生する。そんなケースが目立ちます」
一次、二次を合算し最も税額が安くなる割り当て方を計算
二次相続への対策にはどのようなものがあるのか。勝部税理士監修のもと、二次相続で損をしないための具体策をまとめた。より詳しくポイントを解説していこう。
「まず、配偶者に資産を寄せないことが重要です。『1億6000万円までは非課税』だからと配偶者が全財産を相続すると、長期的には損をしてしまう可能性が高い。親には配偶者の生活資金を確保しつつ、子供への相続までを踏まえて相続財産をバランスよく割り当ててもらうことがカギとなります」(勝部税理士・以下「」内同)
相続財産の総額を把握したうえで税理士に相談し、「一次、二次を合算した相続税額が最も安くなる財産の割り当て方」を事前にシミュレーションしておくことが対策になるという。
また、二次相続でも小規模宅地等の特例を使う対策を考えておきたい。
特例を使うには「二次相続発生時に親と同居している」、「相続発生後も相続税の申告期限である10か月間、その宅地に住み続ける」ことなどが条件となるが、こんなパターンもある。
「子供が実家を離れ賃貸住宅に住んでいる場合はいわゆる『家なき子特例』に該当するため、親と同居していなくても小規模宅地等の特例が使えます。相続だけを考えれば、あえて持ち家ではなく賃貸暮らしをする選択肢もあるかもしれません」
なお二次相続を見越し所有権を子供に移す際は、所有権と「配偶者居住権」を分けて登記する方法もあるという。
「所有権を得た子供が老親を『老人ホームに入居させるから』と追い出し、家を強引に売ろうとするケースもあり得ます。そうした事態に備えて親が自宅に住む権利を保護するのが、『配偶者居住権』です」
小規模宅地等の特例を利用する際、二世帯住宅の場合は特に注意すべきポイントがあるという。
「小規模宅地等の特例は、建物が共同名義であれば適用されますが、区分所有になっていると税務署に同居とは判断されないので要注意です」