今なお「現金のみ」の個人タクシーもある(イメージ)
キャッシュレス時代。クレジットカードはもちろん交通系ICや電子マネーなどさまざまな方法で現金以外の支払い方法が選択できる店が増えている。そうしたなかで、いまだに支払い方法を「現金のみ」とする個人タクシーも残っている。
そもそもキャッシュレス以前、タクシー利用時には「細かいお金を用意」しておくのが半ば慣習化していた。運転手が常に細かい釣り銭を用意しているとは限らないためだ。しかし時は変わり、今や「クレジットカードや電子マネーが使える前提」で乗る人が圧倒的に増えた。2023年に一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会が実施した調査によると、東京でクレジットカード払いに対応しているタクシーの割合は98.3%、電子マネーを導入しているタクシーは97.2%に上る。
ただ、法人タクシーならほとんどのクレジットカードに対応しているが、個人タクシーの場合、決済方法は運転手の判断に委ねられるため、カード等が使えない場合がある。「支払いは現金のみ」とする個人タクシーにはどういう理由があるのか。
機器の操作と手数料の問題か
先日、「うちは現金だけ」だと言われ、乗車を断念したAさん(40代男性、金融)が、その時の状況を明かす。
「深夜残業があり、同僚と飲んだ後に大手町から自宅のある練馬まで帰ろうとした時のこと。深夜2時ぐらいに個人タクシーに乗り込んだら、『現金のみだよ』と言われました。自分は基本キャッシュレスで生活しているので、慌てて財布を確認すると数千円しかない。心許なかったので、降りて別の法人タクシーに乗りました」
運転手は60代~70代ぐらいに見えたという。Aさんが、「せっかく乗ったのに降りてしまって、悪いなという気持ちはあるけど……」と続ける。
「たしかに、窓にクレジットカードが使えることを示すシールが貼られていなかったので、システムを導入していない可能性もあるのかなとは思いましたが、それならそうと乗る前に“現金だけ”と明記しておいてほしい」
ただし、キャッシュレス対応していない個人タクシーの場合、「機器の操作が面倒だというパターンと、手数料の問題があるのだろう」とAさんは推察する。
クレジットカードを利用すると、その手数料分(料金の3~5%)はタクシー会社側が支払うことになっている。個人タクシーともなると、運転手個人の負担になる。タクシー運転手の平均売上を1日4万円とすると、そのうち1200~2000円が売上から差し引かれる計算で、これは決して小さくない金額だ。
