資産の棚卸しは早めに済ますことが大切(写真:イメージマート)
人生終盤戦はお金の対策を間違えると地獄を見る。最後まで困らないようにと必要以上のお金を残していたのに不慮の事故で亡くなる、老い先短いからとバンバン浪費するも予想以上に長生きして老後資金が枯渇する……。そんな悪夢を避けるために行ないたいのが、「人生残り10年」と仮定して、資産の棚卸しを早めに済ますことだ。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏(63)が老後資金の上手なやりくりを解説する。
残り10年を前半、中盤、後半と分けて資産を振り分ける
「まず墓と葬儀にいくらかかるか算出します。墓は樹木葬、葬儀は家族葬や直葬でいいならあまりお金はかかりませんが、200万円が必要ならそのお金を残さなければならない。それよりも旅行や趣味などに使いたいなら墓・葬儀代を減らす。そして墓や葬儀費用を抜いた残りの資産を3つに分けるのです」
残り10年を前半、中盤、後半と分けてそれぞれのステージで使うお金を先に振り分ける(図参照)。それが資産寿命の着地点をコントロールするのに役立つという。
「ポイントは単純に3等分しないこと。たとえば年金以外の手持ちのお金が500万円の場合は、大病をした時に備えて医療費として100万円をプールし、400万円を残りの人生のステージに応じて3分割する。最初の4年に200万円、次の3年に100万円、最後の3年に100万円というように振り分けます。歳を重ねるとお金を使わなくなります。最初の4年間のうちに半分使ってしまうことが大切です」(深野氏)
バランス良く老後資金の収支を管理できているケースは稀だと深野氏は言う。
「堅実な人ほどお金の使い方が下手なパターンが多い。人生の残り10年は“元気なうちに贅沢する”ことです。資産を取り崩すことを怖がらず、今まで貯めたお金を刈り取る時期だと考えましょう」
