不具合が相次ぎ報告されたEVバス(大阪メトロ提供)
環境に優しい次代の乗り物として期待され、すでに公道を走る電気自動車(EV)バスに故障が続発している。そのバスは、北九州市に本社を構える新興企業、EVモーターズ・ジャパン(以下、EVMJ)が販売したもので、大阪・関西万博では150台が導入されている。EVMJは“国産EVバス”を謳い文句に全国の自治体や企業に売り込んできたが、その実態は中国メーカーが製造したものであり、相次ぐ不具合を受け、国土交通省も立ち入り検査に踏み込んだ。そもそも、急速に普及した背景には政府による補助金の問題もあるのではないか──いち早く問題を追及し、関係者の証言を集めてきた自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏がレポートする。【第3回】
国や自治体の補助金を組み合わせれば3300万円が420万円に
車両トラブルが相次ぐ新興企業のバスを自治体やバス運行事業者がなぜ購入しているのか。取材を進めていくと、「国産EVバス」「独自インバータ」という謳い文句だけではなく、EVバス購入に対する政府や自治体の補助金の手厚さが明らかになった。なかでも、環境省が「商用車等の電動化促進事業」として展開する補助金が際立つ。
EVMJのEVバスの場合、国や自治体の補助金を組み合わせれば、車両価格約3300万円のバスが420万円弱で買えるのだ(神奈川県の場合)。筆者が入手した同社の営業資料にはそうした手厚い補助金の存在がしっかり記載されている。
社内関係者が明かす。
「大阪メトロはEVMJ社からバスを購入した理由として、『導入時に国の補助金を活用する際、最も条件が合うのが同社だった』と説明していますが、EVMJでは補助金申請を前提にした営業が展開されていました。
ある大手バス会社との契約で、11台のうち5台が納期遅れとなったことがあります。うち4台は補助金適用期限が延長されて間に合いましたが、1台は期限までに納車ができず、結果的に補助金適用がされませんでした。2500万円弱の負担がバス会社に生じるため、EVMJが全額を負担したこともあります」
