介護が必要になる前に備えておく(イメージ)
連れ添った配偶者の没後、ひとりの暮らしには苦労が多いが、正しく備えていればその生活は楽園にもなりうる。ひとりになると生活や住まいにも大きな変化が生じる。妻に先立たれた都内の76歳男性が語る。
「家のことはすべて妻に任せきりでほとんど家事をしたことがありませんでした。妻を亡くしてまず困ったのが食事です。料理以前に炊飯器や電子レンジの機能が多くて使えず、シンプルな家電を購入し直しました。妻に使い方を聞いておけば無駄なお金をかけずに済んだのですが……」
各自治体や社会福祉協議会などの支援サービス
配偶者が生きているうちにある程度は生活能力を身につけることが求められる。理想は配偶者と家事を完全に折半することだ。配偶者と死別した人々のコミュニティ「没イチ会」を主宰する一般社団法人シニア生活文化研究所所長の小谷みどり氏は、「まずは近所のスーパーに行くこと」を勧める。
「スーパーは単なる食料品売り場ではなく生活の現場そのものです。店内を一周すれば野菜の値段や旬の魚、肉の量と価格の関係などを自然に学べます。こうした“相場感”を体感することは金銭感覚や生活感覚を身につけるための第一歩です。“昭和的な役割分担”を長年していた夫婦は、配偶者を自立できるようにしていくことも大切です」
ひとりになったら苦労する「生活スタイル」「価値観」
売り場を歩くと「今日は何を食べたいか」という想像力も刺激される。
「そもそも自炊しない人は自分が何を食べたいかわからなくなってくる。そうなると、食事というよりもお腹に適当な食べ物を入れるだけになり、栄養が偏りやすくなる。献立を考えることは生活能力を鍛えることになりますし、自炊ができるようになると生活の質は一気に上がります」(小谷氏)
配偶者の没後、料理に目覚めたというのは埼玉県在住の70代男性だ。
「コンビニの弁当生活に飽き飽きして、料理本を買って自炊を始めたんです。最初は豆腐の厚揚げやネギチャーシューといった酒のつまみくらいでしたが、旨く作れると面白くて。明日は何を作ろうかと考えることが日々の活力になっています」

