ひとりになったら苦労するのはどんな人か(イメージ)
夫婦はいつか必ずどちらかが先に逝く。連れ添った配偶者の没後、ひとりの暮らしには苦労が多いが、正しく備えていればその生活は楽園にもなりうる。
「話し合ってこなかったことが山ほどあった」
長年連れ添った夫婦でも、お互いに知らないことは多いものだ。3年前に妻を食道がんで亡くした都内在住の70代男性が振り返る。
「没後、銀行からの手紙で初めて妻の取引口座を知るといったことが続きました。妻の預金通帳を私名義に変更する手続きが面倒で、しばらくは雑事に追われました。お金をはじめ、話し合ってこなかったことが山ほどあったんだな……と痛感しました」
この男性のようなケースは少なくない。配偶者と死別した人々のコミュニティ「没イチ会」を主宰する一般社団法人シニア生活文化研究所所長の小谷みどり氏が語る。
「私自身、夫を突然死で失った経験があります。夫の友人・知人の連絡先をまったく把握しておらず、本人が誰を呼んでどういう葬儀をしたかったのかわからず途方に暮れました。没後に回ってきたマンション理事の役割も、生前の夫は淡々とこなしていましたが、私はどうしていいのかわからない。“夫が生きているうちに聞いておけばよかった”と思うことは後からたくさんありました」
一方で、苦労を乗り越え、幸せにひとりで暮らしている人もいるという。
「配偶者の好物といった、言わなくてもわかることは常に観察していればわかります。大切なのは“伝えていないとわからないこと”をしっかり話し合っていたかどうか。元気なうちから“お互いの死”に準備をしておいた夫婦は、配偶者の没後も苦労が少ない印象です」(小谷氏)
