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医心伝身プラス 名医からのアドバイス

【下肢痛治療の最前線】脚の動脈が閉塞し血流が不足する「下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)」、脊柱菅狭窄症の症状による痛みとの見分け方 重症化すると切断リスクも【専門医が解説】

薬物療法と運動療法で歩行機能の維持を目指す

 治療は進行の度合いによって違いますが、基本は禁煙と運動療法、そして、食生活をはじめとする生活習慣の改善です。糖尿尿、高血圧、肥満をコントロールして、禁煙をしっかり守ることが症状改善に繋がります。軽症の場合は、ガイドラインでも「中程度の痛みが出る歩行を30~60分、週3回以上、3か月以上続ける」運動療法が推奨されています。

 同時に、抗コレステロール薬や抗血小板薬などによる薬物療法を併用します。症状の改善薬として現在承認されているのは、抗血小板薬の「シロスタゾール」です。この薬は血液をサラサラにして血栓形成を抑制するとともに、血管を拡張させて血流を確保する作用があります。

 糖尿病の場合、合併症を抑制するための血糖管理が極めて重要になります。2025年には、ASOを発症している2型糖尿病患者に糖尿病治療薬である「GLP-1受容体作動薬」を投与したところ、本物の薬成分を含まない「プラセボ(偽薬)」を服用したグループと比較して、歩行距離が大幅に改善したという「ストライド試験」の結果が論文発表されました。作用機序については今後の研究が待たれますが、将来的に適応が追加される可能性があり、新たな治療の選択肢として期待されています。

 運動療法や内服治療を半年から1年ほど続けても改善がみられない場合や、すでに重症化している症例に対しては、カテーテル治療(EVT)や外科的治療が検討されます。EVTは、血管内にカテーテルを挿入し、狭窄や閉塞している箇所を特殊なバルーン(風船)で広げたり、ステント(網目状の金属筒)を留置したりする治療法です。傷も小さく体への負担が少ないので、比較的低侵襲に行なえるのが大きなメリットです。

■後編記事につづく:【下肢痛治療の最前線】歩行時の脚の痛みから始まる重症化リスク 自分でも判断できる血流不良のサインとは?特に糖尿病や透析患者は最新の注意を【専門医が解説】

「カテーテル治療は、傷も小さく体への負担が少ないのがメリットです」と語る中村正人教授

「カテーテル治療は、傷も小さく体への負担が少ないのがメリットです」と語る中村正人教授

【プロフィール】
中村正人(なかむら・まさと)/東邦大学医学部名誉教授。同大学医学部循環器疾患低侵襲治療学(寄付講座)教授。1982年東邦大学医学部卒業後、三井記念病院や米国セダーズ・サイナイ医学センターへの留学を経て、2008年より東邦大学医学部教授(内科学講座循環器内科学分野)、2016年からは同大学医療センター大橋病院循環器内科診療部長を歴任。現在は名誉教授として後進の育成にあたるとともに、寄付講座を通じて最新の循環器疾患治療の普及と、患者の身体的負担を軽減する医療技術の社会実装に尽力している。

取材・文/岩城レイ子

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