駅係員による移動制約者の乗降介助
首都圏の鉄道4社局(京浜急行電鉄・都営地下鉄・京成電鉄・北総鉄道)で、2026年3月3日より「移動制約者ご案内業務支援サービス」の連携運用が始まっている。同サービスの概要と、導入に至るまでの経緯について、交通技術解説者・川辺謙一氏が解説する。
移動がむずかしい人たちの乗降サポートと効率化
「移動制約者ご案内業務支援サービス」は、駅係員による「乗降介助業務」をデジタル技術で支援するしくみだ。車いす利用者や、白状を使う視覚障害者など、移動に困難をともなう方々(以下、移動制約者)は、鉄道を利用する際に乗車駅の駅係員に降車駅を伝える。乗車駅と降車駅の駅係員は、その情報に基づいてスムーズな乗降介助を行う。この一連の流れにデジタル技術を導入し、業務の効率化を図るのが狙いだ。
鉄道事業者は、従来の「乗降介助業務」において、駅係員の連携に課題を抱えていた。乗車駅と降車駅の間で、利用する列車や乗車位置などの情報共有が円滑に行われないと、乗降介助に時間を要し、結果として列車の遅延を招く要因にもなっていたからだ。
そこで日立製作所(以下、日立)は、スマートデバイスを用いた本サービスを開発した。駅係員同士の情報共有をデジタル化することで、業務負担の軽減を目指した。本サービスは、すでに西武鉄道をはじめとする多くの鉄道事業者が導入しており、鉄道業界におけるDXの事例の一つとなっている。
サービス導入後、最初に見えた課題は、駅係員による誤入力だった。従来は、乗車駅の駅係員が列車や位置などの情報を手動で入力していたため、入力の誤りによって、降車駅に正確な情報が伝わらないリスクがあった。
この問題を解決するため、日立はスマートデバイスとNFC(非接触ICチップ)を連携させた新機能を開発した。駅係員がホームドア等に設置したNFCにスマートデバイスをかざすだけで、情報を自動的に認識・送信できるしくみだ。
この自動入力機能は、2025年5月1日に相模鉄道が国内で初めて導入した。これにより、乗降駅間でのミスがない情報共有が、より一層容易になった。
