マルチ商法だったなんて…(イラスト/大野文彰)
甘い誘い文句に騙されて、大きな借金を負ってしまうケースもあるのが「マルチ商法」だ。入会のために多額のお金を支払ってしまった場合、後から返金を求めることはできるのか。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
3か月ほど前、息子が友人から「投資を学ぶセミナーがある」と誘われました。行ってみると、マルチ商法への勧誘でした。入会金は50万円と高額でしたが、「人を紹介すると、1人あたり10万円の紹介料がもらえるから、5人紹介すれば無料と同じ」と言われ、消費者金融に借金をして入会金を支払いました。後悔しているようですが、いまからでも解約してお金を返してもらえますか。(東京都・主婦・55才)
【回答】
入会金を支払って商品販売員となり、他人を勧誘してその入会金の一部を受け取り、利益を得ながら販売組織を連鎖的に拡大していく行為は「連鎖販売取引(マルチ商法)」といわれ、特定商取引法の規制対象となっています。脱会するには、「クーリングオフ」「中途解約」「契約の取り消し」という3つの方法があります。
「クーリングオフ」は、販売業者が契約時に相手に交付することが法律で決まっている書類(契約書面)を受け取った日から起算して20日経過するまでの間、無条件で契約を解除できる権利です。業者は息子さんの勧誘に先立って明示すべき目的を偽り、立場を明示しないで勧誘を開始するなど法律違反をしていますから、適法な契約書面の交付がない可能性があります。その場合はいまからでもクーリングオフができ、入会金の返還を請求できます。
