リスクオンへの回帰をうかがう情勢での注目銘柄はどのようなものか
中東情勢を受けた市場の混乱も、徐々に落ち着きを取り戻しつつある。そういった状況で、投資妙味が高まる注目銘柄にはどのようなものがあるのか。相変わらずAI・半導体関連が市場全体を牽引する相場が続いているが、それ以外で注目すべき株はないのか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が解説する。
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AI革命のトレンドに今から乗るのは悩ましいところ
イラン情勢は、世界的なマーケットの混乱を引き起こした。しかし、現状、情勢は一服の兆しを見せている。市場は再度リスクオンへの回帰をうかがっており、ここからのマーケットは企業業績や変化に対応する力のある企業に注目が集まるだろう。
現在、株式市場のメインストリームは依然としてAIと半導体関連銘柄が席巻している。エヌビディアを筆頭とするAI革命はメガトレンドであることに疑いの余地はない。しかし、「今からその熱狂に乗るべきか」と問われると悩ましいところだろう。では、どういったセクターに目を向ければよいか。
今回は、イラン情勢の落ち着きを追い風とし、独自のビジネスモデルで圧倒的な優位性を築いている注目すべき銘柄についてピックアップする。
原油価格安定が直接的な追い風、OHT分野の覇権で高収益体質に
【横浜ゴム(5101)】
同社は日本のタイヤ業界において独自の進化を遂げ、いまやグローバル市場で確固たる地位を築き上げている。タイヤメーカーと聞けばEVシフトや自動車の販売台数に影響する景気敏感株という印象もあるだろう。しかし、現在の同社の真の強みは、一般消費者向けの乗用車用タイヤというレッドオーシャンではなく、農業機械や建設機械、林業機械などに使用されるOHT(オフハイウェイタイヤ)の領域にある。同社は戦略的なM&Aを通じて、このOHT分野における世界的な覇権を握るに至った。OHTは特殊な技術と過酷な環境に耐えうる品質が求められるため、参入障壁が極めて高く、価格競争に巻き込まれにくい高収益体質な分野である。
さらに、今回のイラン情勢の一服は横浜ゴムにとって直接的な強烈な追い風となる。中東の緊張緩和は原油価格の安定をもたらし、タイヤの主原料である合成ゴムやカーボンブラックなどの石油化学製品の調達コスト上昇圧力を劇的に和らげる。同時に、紅海やホルムズ海峡を巡る物流の混乱が正常化に向かえば、グローバルに製品を展開する同社にとって海上運賃の高騰リスクも後退する。これらはすべて営業利益をダイレクトに押し上げる要因となる。
同社が掲げる中期経営計画「YX2026」では、このOHT事業を中核とした強気な利益目標と資本効率の改善が明記されており、過去のタイヤメーカーの枠組みを超えた「高収益の特殊ゴム素材企業」への変貌が進行中である。一時的なマクロのショックで株価が調整する局面があれば、それは絶好の買い場であり、現物で長期保有するに足る極めて堅実な企業と言える。
イラン情勢が緊迫化した3月から同社はそのマクロ環境に起因したショックで最高値から大きく下落しており、PBRは1倍を割れる状況となっていた。ここからの同社の株価の戻しに期待したい。
