青や赤のバルーンを使ったジェンダーリビールのイベント例(インスタグラムより)
「望んだ性別ではない!」悲観する親の姿も
本来はお祝いイベントとして微笑ましいものだが、「動画が流れてくるとモヤモヤする」という人もいる。都内のカフェで勤務している女性・Bさん(20代)は、海外のジェンダーリビール動画を見て、強い違和感を覚えたという。
「おすすめ欄に流れてきた動画で、ジェンダーリビールという文化を知りました。私が違和感を覚えたのは、バルーンを割った瞬間、青い紙吹雪が出てきて、男の子だと分かった母親の動画です。彼女は女の子が欲しかったらしく、『なんでよ! 信じたくない!』と喚いて、涙を流していたんです。
ここまで極端なケースは稀ですが、日本人の動画でも期待していた性別と違い、明らかにテンションが下がっている様子を投稿している夫婦もいます。将来、子どもが見た時にショックなんじゃないかな……。親の自己満足にしか思えなくて、どうにもモヤモヤしてしまうんです」(Bさん)
なぜこうした予想外の反応が生まれるのか。そもそもジェンダーリビールには2つのパターンが存在する。ひとつは、夫婦が性別の診断を受けた上で、親族や友人に向けてサプライズ報告をおこなうパターン。もうひとつは、病院で性別を書いてもらった紙を封筒に入れ、夫婦が性別を知らない状態でジェンダーリビールケーキを業者や友人らに発注する、というパターンだ。
子どもがジェンダーマイノリティだった場合どうなるのか
Bさんが感じる違和感は、もっと若い世代にも共有されている。都内の大学に通う女性・Cさん(20歳)は、自身の周りにジェンダーマイノリティの友人が複数いるといい、ジェンダーリビール文化には反対だと語る。
「これって『男の子か、女の子か』という生物学的な性をすごく強調する文化ですよね。身内で静かに楽しむなら良いですが、『この性別でガッカリ』『この性別でよかった』という感情を、世界中に向けて発信する意味がわかりません。もし、その子が将来LGBTQの当事者だったら、この動画がどのような意味を持つのか、考えてしまいます。『女の子でよかった』と周囲に言われながら育ち、物心ついたときにジェンダーアイデンティティが女性ではなかった場合、この動画を見たらきっと傷つくでしょう」(Cさん)
実際、海外ではCさんが指摘する視点から、ジェンダーリビール動画への批判も増えているという。「男の子ならブルー、女の子はピンク」など、性別による固定観念を強めてしまう懸念のほか、SNS拡散を前提とした過剰な演出やインプレッション稼ぎのための“妊娠出産のイベント化”などに、違和感を表明する人も少なくない。
21世紀に入ってから生まれた新しい慣習だが、多様性が尊重される時代に、早くもその是非が問われるようになっている。
