治療費や薬代の還付以外にも受け取れるお金がある(写真:イメージマート)
国民皆保険で社会保障も手厚い日本では、医療保険で医療費の多くがまかなわれ、自己負担額は低いとされている。しかし、高齢化が進む中で負担割合は引き上げられ、医療保険外にかかる費用も少なくない。このままでは、医療費や介護費に押しつぶされ、老後貧乏になってしまうのでは……と不安を抱える人もいるのでは? だからこそ、「申請すればもらえる、返ってくるお金」を把握し、活用すべきなのだ。【全3回の第2回】
「障害年金」「自立支援医療」などは“期限切れ”に要注意
けがや病気でかかるお金は治療費や薬の購入費用だけではない。入院中の食事代や差額ベッド代、治療中の休業による収入減は公的保険ではカバーされない。だがその代わり、勤務先の健康保険から「傷病手当金」を受け取ることができる。社会保険労務士の岡佳伸さんが説明する。
「連続して3日以上休むと、4日目から最長通算1年6か月間、給与の約3分の2が支給されます。申請受付日から原則10営業日以内に支払われ、退職後も一定要件を満たせば継続給付されるケースもあります。
また、業務中や通勤中の病気やけがは『労災保険』が適用され、療養補償、休業補償、後遺障害の給付などを受けられます。ただし同一事由に対して傷病手当金と労災の併用はできません」
障害や後遺症、長期的な治療が必要になったら「障害年金」「自立支援医療」などを頼ることができる。カミーユ行政書士事務所代表の井上卓也さんが言う。
「障害年金というと、手足を失ったり車いすが必要になるなどの状態を想像しがちですが、抗がん剤治療や人工透析、心臓のペースメーカー、うつなどの精神疾患も対象です」(井上さん)
重要なのは病名や障害者手帳の有無ではなく「初診日」なので、初診日を証明できるよう、医療機関の領収書は必ず保管しておこう。社会保険労務士の岡佳伸さんが説明する。
「うつ、不安障害、PTSD、てんかん、認知症などで継続通院が必要な場合は『自立支援医療制度』で自己負担割合が1割になります。外来だけでなく投薬、デイケア、訪問看護なども対象です」(岡さん)
これらの制度には“時効”があり、1日でも過ぎると申請できなくなるので注意が必要だ。
「高額療養費や傷病手当金などの健康保険関連の制度は2年以内、医療費控除などの税金関係の制度は5年以内に手続きしましょう」(井上さん)
