“虚偽の申告”が通るなんて…(イラスト/大野文彰)
ビジネスシーンで重要な課題となっているパワハラ。虚偽のパワハラを申告されるケースもあるというが、もしも、虚偽の申告でパワハラの加害者となり、会社から退職を勧告されたならば、どう対応すればいいのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
夫が勤める会社は社員30人程度で、夫は部署の新人教育なども担当しています。新人Aの態度があまりにもひどいため、「やる気はあるのか」と叱ったところ、Aが「無能、使えない、死ね、辞めろと言われた。パワハラがひどくて耐えられない」と会社に嘘をついたため、パワハラを理由に夫は退職を勧告されています。辞表を出すよう言われていますが、撤回してもらうにはどうしたらよいですか。(千葉県・50才女性・パート)
【回答】
会社と被雇用者の関係は雇用契約に基づきます。会社を辞めることは、この雇用契約を終了させることを意味します。
その方法は3つあります。従業員が自分の都合で辞める退職、会社と従業員が互いに合意して雇用契約を終了させる方法(合意解約)、会社の都合で辞めさせる解雇です。
ご主人が辞表を出すように言われているのは、雇用契約を終了させたいという意思表示、つまり合意解約の申し込みを会社にするように求められているのです。辞表を出せば、会社はご主人の合意解約の申し込みを承諾し、合意による退職が確定します。会社は退職金を支払うなどすれば従業員の退職申し出を認めたことになり、後腐れなく雇用契約を終了させることができます。いったん提出すると撤回するのは簡単ではありませんから、まずは辞表を出さないことです。
