インフレが進むなかで好調なのは「100均」と「スーパー」のどちらか(写真:イメージマート)
決算書から企業の売上原価・販管費・営業利益を把握できるが、それらをどう活用すればビジネスや投資に活かせるだろうか。音声メディア「voicy」で配信する「10分で決算が分かるラジオ」が人気の「妄想する決算」氏は、決算データを読み解く際に「何を・どこで・どのように」と「分解・比較・なぜ」の視点を用いるようおすすめしている。具体的にどう見ればよいか?
若手会社員・一ノ瀬君との会話形式で構成される妄想する決算氏の新著『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』(高橋書店)より、クイズ形式で決算データの活用法を紹介する(同書より一部抜粋・再構成)。【前後編の前編】
問題:100均とスーパー、インフレで好調なのは?
ヒントになるキーワードは「何を・どこで・どのように」「分解・比較・なぜ」です。
*編注
【何を・どこで・どのように】
「何を」:事業セグメントはどうなっているのか?
「どこで」:地域別の売上はどうなっているか?
「どのように」: どのような売り方をしているのか?
【分解・比較・なぜ】
「分解」:情報を細かく分解。情報の解像度を上げる
「比較」:数字の変化・違いを比較(時系列比較、同業他社比較)
「なぜ」:変化・違いの理由を確認
妄想さん:それでは、100均を運営するセリアとスーパーマーケットのイオン九州、インフレが進むなかで好調なのはどちらでしょうか? 売上とコスト、両方から予想してみましょう。
一ノ瀬君:まずは、「何を・どこで・どのように」から考えるんだったね。
妄想さん:この2社は「何を・どこで」売っていると考えられますか?
一ノ瀬君:両方とも国内の小売がメインと予想できるよ。
妄想さん:では、「どのように」についてもわかりますか?
一ノ瀬君:スーパーはいろいろなメーカーの商品を仕入れて販売しているよね、そして100均は海外の生産コストの安い国で生産した商品を売っているって聞いたことがある。
妄想さん:いい調子です。それでは「分解」してみましょう。
一ノ瀬君:売上はハイデイ日高とかと同じで、「客数×客単価×店舗数」に分解できそう。
妄想さん:店舗数の変化はわからないと思うので、そこは無視して既存店がどうなっていそうか考えてみましょう。
一ノ瀬君:了解!
妄想さん:「客数」はどうですか?
一ノ瀬君:スーパーは客数がそんなに増減する業態じゃないだろうから、横ばいかな。100均は逆に集客が増えているだろうね。節約で100均の活用術みたいなSNSの投稿も見る機会が増えた気がする。となると、スーパーは値上げぶんで売上が伸びて、100均は客数増加ぶんで伸びていそうだね。
妄想さん:「客単価」はどうですか?
一ノ瀬君:スーパーはインフレで値上げが進んでいるから、客単価が上昇していそう。100均も一部商品を値上げしているから上がってるだろうけど、基本的には100円を維持しているし、スーパーと比べると上がってなさそうだね。
妄想さん:次はコスト面の分解です。原価と販管費から考えてみましょう。「原価」はどうですか?
一ノ瀬君:両社ともインフレの影響を受けて原価は上がっていそう。それに100均は円安の影響も受けるから、原価はより大きく上昇していそうだね。両者とも原価は増加していて、100均のほうがとくに大きく増加してるのかな。
妄想さん:「販管費」はどうですか?
一ノ瀬君:両方の店舗に実際に行ってみると、セルフレジの導入を進めてるよね。人件費高騰のなかでもハイデイ日高みたいに販管費は抑えられていそう。
妄想さん:それでは、一ノ瀬君の答えをまとめてみてください。
一ノ瀬君:スーパーは比較的好調、100均は原価高騰で苦戦じゃないかな? どう?
一ノ瀬君の予想(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)
妄想さん:それでは、答え合わせしてみましょう!

