焼香の所作を美しく見せる2つのポイント
繰り返しになりますが、焼香で一番大事なのは、故人の冥福を祈る気持ちです。
ただ、仕事関係の葬儀や社葬など、取引先や会社関係者の前で焼香をする場面では、できれば落ち着いて美しい所作に見せたいと思う方もいるはずです。「どのタイミングで礼をする」といった手順を守っただけでは、美しい焼香にはなりません。
焼香の所作を美しく見せるポイントは「背筋を伸ばす」と「動作を止める」の2点です。某ホテル会社の社葬を行った際、一部の従業員の方たちの焼香の所作がとても美しかったため、違いを観察していてこのポイントに気づきました。
前編で紹介した佐々木さんの焼香の問題点は、この2つができていなかったことです。
これらのポイントは、葬儀社が運営しているYouTube動画でも見落とされがちです。そもそも葬儀社のスタッフは、毎日参列者を焼香に案内していますが、自身が焼香をする経験は滅多にないので、焼香のプロではありません。
ではまず「背筋を伸ばす」について解説します。
立った状態で、背中を壁にぴったり付けてみてください。このとき、後頭部、肩甲骨、おしりが壁に触れているはずです。これが、背筋を伸ばしてきれいに立っている状態です。人によっては、少し反り返っているように感じるかもしれません。しかし、それは普段の姿勢が前かがみになっているためです。可能であれば、誰かに横から写真を撮ってもらうと、自分が思っているより自然にまっすぐ立てていることがわかるでしょう。このときの上半身の感覚を覚えておきます。
焼香に案内されたら、歩くとき・お辞儀をするとき・合掌するときのどの状況でも、先ほどの上半身の状態を「常に」維持し続けます。特に崩れやすいのは、お辞儀をするときです。頭だけを下げるのではなく、背筋を伸ばしたまま腰から上半身を倒すように意識すると、丁寧な印象になります。伸びたふくらはぎが痛いと感じるかもしれませんが、我慢してください。普段からこの姿勢を続けるのは難しいかもしれませんが、焼香にかかる時間は長くても1分程度です。その短い時間だけでも、背筋を伸ばすことを意識してみてください。
次に、区切りで「動作を止める」についてです。
体の向きを変えたときに、まず一拍置いてください。次に礼をしたら、頭をすぐに上げるのではなく、そこで一拍置きます。そして頭を上げきったあとも、すぐに向きを変えず、もう一拍置きます。この「止まる」動作があるだけで、所作全体が落ち着いて見えます。反対に、動作にメリハリがなく流れるようになってしまうと、本人にそのつもりがなくても、慌ただしい印象や、いい加減な印象を与えてしまうことがあります。
「背筋を伸ばす」「動作を止める」、この2つを意識しましょう。