「物価連動国債」の仕組みやメリットを解説
物価上昇が続くなか、預金や固定金利の国債では、お金の実質的な価値が目減りする「物価負け」が避けにくくなっている。そこで注目されているのが、物価の動きに合わせて元本が増減する「物価連動国債」だ。財務省が個人向け国債の商品拡充を検討するなか、より買いやすい新商品の登場にも期待が高まっている。『知識ゼロでも週3000円の投資で100万円が勝手に貯まる本』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第197回は、「物価連動国債」について。
物価連動国債の仕組みとは?
物価上昇が家計を圧迫する今、預金に置いたお金の価値が実質的に目減りしていく「物価負け」への不安が高まっています。たとえば国債で年2%の利息を得ても、その間に物価が3%上がれば、実質的には損をしたのと同じ。この悩みを軽くしてくれる商品として、いま注目を集めているのが「物価連動国債」です。
一般的な国債は、購入時に利率と元本が固定されています。一方、物価連動国債は、利率こそ固定ですが、元本が物価の動きに合わせて増減するという特徴があります。物価が上がれば元本も膨らみ、その増えた元本に対して利息がつくため、インフレに強い設計になっているのです。物価上昇が続く局面では、通常の国債のような「物価負け」を軽減できる点が最大の魅力です。
なぜ今、注目されているのか
これまで日本の物価連動国債は、長らくデフレが続いたことや商品説明の難しさから、あまり積極的に販売されてきませんでした。しかし潮目が変わりつつあります。財務省は5月26日、個人向け国債の新商品に関するアンケート結果を公表し、回答者の3割超が「元本が物価に応じて変動するインフレ連動国債を購入したい」と答えたことを明らかにしました。これを受けて財務省は個人向け国債の拡充を検討しており、物価連動債もその選択肢に挙がっていると報じられています。
国債の商品ラインナップ拡充は、すでに具体的に動き始めています。同じ研究会では、個人向け国債の販売対象を、これまでの個人に加えて学校法人やマンション管理組合などの法人にも広げ、商品名を「個人向け国債プラス」に変更する方針が示されました。令和9年1月発行分からの予定です。あわせて、短期金利に連動する新たな変動利付国債の発行も検討されています。日銀が国債の買い入れを縮小するなか、国が新たな買い手として個人に照準を定めている、という背景もあります。こうした流れの延長線上に、物価連動債の個人向け拡充も期待されているのです。
*参照資料:国の債務管理に関する研究会(第10回)
