老後資金をどう「使い切る」か(写真:イメージマート)
必死に貯めた老後資金、思い出の品々、築いてきた人間関係……年を重ねるほどいろいろなものが増え、手放す気力は減っていく。でも、お金も人も、あの世には持っていけない。元気なうちに自分のために使い切り、時には手放す「ゼロ活」が、幸せな老後への第一歩だ。【前後編の前編】
「資産をゼロ」にして最期を迎えれば「後悔もゼロ」
「約2386兆円」。これは、今年3月に日本銀行が発表した「家計の金融資産残高」の合計額で、前年同期比7.1%増の過去最高額となった。“家計が苦しい”という多くの人の生活の実感とは異なり、データのうえでは日本人は「貯め込みすぎ」ている人も少なくないようだ。
注目すべきは、この金融資産を保有している人の6割が「60才以上の高齢者」といわれているということ。『ゼロ活 ~お金を使い切り、豊かに生きる!~』の著者で社会保険労務士の井戸美枝さんが言う。
「老後資金の不安を募らせるあまり支出を抑えすぎ、せっかく貯めたお金を使い切れないまま亡くなっていく人が多いのです」
消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんも言い添える。
「使い切れなかったお金が残っているのは『やりたいことができなかった後悔』が残っているのと同じです。人生の最期に“必死に働いて、お金を貯めただけで終わった”と後悔するのか、やりたいことをやり切った、いい人生だったと満足できるのかで、人生の幸福度は大きく変わります」
