太宰治の『人間失格』にも登場する「電気ブラン」
お酒はいつ飲んでもいいものだが、昼から飲むお酒にはまた格別の味わいがある――。ライター・作家の大竹聡氏が、昼飲みの魅力と醍醐味を綴る連載コラム「昼酒御免!」。連載第28回は、酒飲みで知らぬ人はいない“あの酒”を飲みながら、粋な夏の過ごし方を実践してみた。【連載第28回】
住所が「浅草1-1-1」の貫禄
朝でも昼でも、飲みたいときがうまいとき。それを合言葉に昼日中っから酒場をめぐる「昼酒御免!」、28回目に徘徊いたしますのは浅草、訪ねる店は「神谷バー」です。
場所は吾妻橋のたもと。住所でいうと台東区浅草1-1-1。浅草はここから始まった、みたいな番地表示だ。そこに、大正モダンを思わせる古いビルがある。6階建てで、見上げるとかなり立派だし、風格がある。浅草に馴染みのある人にとっては見慣れた建物だが、私などは、浅草に行くたびに、まずは立ち止まって見上げる。観音様にお参りするのと同じように神谷バーにも頭を垂れて挨拶し、それから浅草界隈をめぐるのだ。しかし今回は、神谷バーが目的の店だから、目礼するとすぐに入店した。
同行者はいつものように飲み友ケンちゃん。
入ってすぐにある魅惑のショーケース
入口近くのショーケースの前に立ち、しばし、考える。飲むのは生ビールと決めているのだが、さて、何をつまもうか。ここは洋風居酒屋というよりレストランだから、適当に枝豆でも頼んどいたらいいや、という具合にはいかない。
1階左手の広々としたフロアのテーブルについた私とケンちゃんは、入口横の窓口まで戻り、食券を購入した。

