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ビジネス

「280万円の見積もりが最後は490万円に?」ブライダル業界の“後出し値上げ”に消費者たちの不信感 結婚式の支払価格が初回見積もりより高額になるカラクリとは

他業界では支払総額の透明性に向けた取り組み

 他業界は、すでに同じ種類の問題に手を入れている。中古車では2023年10月1日から、自動車公正取引協議会の規約改正により、販売価格の表示が、車両価格だけでなく購入時に最低限必要な諸費用を含む「支払総額」に変わった。安い車両価格で客を集めながら、その価格では実際には購入できなかったり、商談時に保証や整備を付けるよう求めたりする販売方法が問題になったためである。

 住宅リフォームにも、国土交通大臣から住宅紛争処理支援センターの指定を受けた公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営する相談窓口「住まいるダイヤル」がある。契約前の見積書について、項目や数量、単価、追加費用などを確認する「リフォーム見積チェックサービス」を2010年度から実施している。

 共通するのは「安くしろ」ではない。「最初から分かるようにしろ」である。

 そもそも披露宴や結婚式をするカップルは、おそらく筋金入りのケチではない。本当に支出だけを減らしたいなら、最初から披露宴を開かない。何十人ものゲストを招き、料理を出し、衣装を着て、花を飾る。ご祝儀があっても自己負担を覚悟して、それでも大切な人たちのためにお金を使う。

 そんな客に対して最優先で求められるのは、値下げではない。透明性である。料理を良くすれば20万円増える、映像を残せば30万円かかる。それが最初から分かっていれば、納得して選べる。

 価格が高いことと、価格が分からないことは違う。

 ブライダル業界が売っているのは、安さではない。一生に一度の納得感である。だからこそ「最初は安かったのに、最後は100万円上がった」を業界の常識にしてはいけない。客が求めているのは安い結婚式ではない。納得してお金を払える結婚式である。

【プロフィール】
小倉健一(おぐら・けんいち)/イトモス研究所所長。1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立して現職。

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